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「家事」「育児」の男女の分担割合について。~「見える化」でお互いをねぎらう

女性が結婚、出産後もキャリアを築ける社会は子どもを産み育てやすく、少子化対策にもつながります。家庭でも、家事・育児を夫婦でうまく分担できることが、出産・育児の希望を後押しする要因と考えられています。

しかし実際には、共働き世帯が増加する中で、女性側の負担は相変わらず大きいまま、との調査も。炊事洗濯など名前の付いている家事に加え、日常生活で不断に起こる名前がついていない家事、いわゆる「名もなき家事」がそもそも認識されていないとも。

家事、育児を見える化すれば、お互いをねぎらいながら、うまく家事や育児を分担できるかもしれません。

今回は、広島県が調査した「ひろしま共育て大調査の結果(速報)について」をご紹介しながら、家事・育児について考えます。

広島県が調査。男女の家事・育児分担の現状

広島県は2025年1月、既婚者・パートナーがいる広島県民2,950人を対象に、家庭の具体的な家事・育児の内容を挙げ、それを誰がしているか調査しました。いわゆる「名もなき家事」にも焦点を当て、合計102項目にわたるアンケートでした(以下)。その結果をご紹介します。

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家事について

最も多かった回答区分が赤字で示されています。
「料理」では、全体的に女性が行っているとの回答が最も多く、「食事後の後片付け」で「食べた食器を洗い場に持っていく」「食器を洗う」「乾いた食器を収納する」などで「分担」が多い結果でした。
「エアコンの掃除をする」「ゴミを収集場所に出す」については男性が行うという回答が多く、それ以外は女性ないし分担がもっとも多い結果を占めました。

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育児について

育児では、お風呂やおむつ、遊ぶ場面では「分担」の回答が多く、「男性」区分の回答が最も多かった項目はありませんでした。

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事情や価値観は夫婦ごとに違うけど・・・

社会学者メアリー・ブリントン氏が2020年に経済協力開発機構(OECD)の調査などを元に日本、米国、スウェーデンにおける男女の家事・育児分担割合を調べたところ、男性の分担割合は日本が約15%、米国は30%台、スウェーデンは40%以上でした。2020年の出生率はそれぞれ1.33、1.64、1.66で、男女の家事・育児の分担が均等に近いほど出生率が高いと報告しました。

依然として高い女性への家事・育児の負担を、単に個人の責任とは言えません。そういう社会構造があるということであり、いきなり男性の家事・育児負担を増加させればいいということでもなく、社会で取り組んでいく課題と言えそうです。

ドイツでは、16時に保育園が閉まり、男性は3時、4時に仕事を終えて、パパが保育園に子どもを迎えにいくことが多いそうです。つまり男性が育児に参加しやすい社会ができあがっていると言います。一方で、日本のように11時間もの長い時間、子どもを受け入れている保育園は世界に例がないとのこと(第10回子ども・子育て支援全国研究大会2019の講演にて)。

家庭ごとに事情や価値観は異なりますから、男女の負担を均等にするのも、主婦(主夫)となって専念するのも、選択肢の一つです。

ただ、女性のキャリア形成を阻む原因に家事・育児の負担が大きいことがあるのなら、キャリアを目指す女性が仕事を続けやすい社会が望まれます。これは、男性の常時の労働環境や育休の取得のしやすさ、子どもの急病時への会社の柔軟な対応など、社会として整備していく必要があります。

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2024年度の男性の育休取得率は過去最高の40.5%に達しました(厚生労働省調査)。男性の育休取得率は12年連続で増加しつづけていますが、今回は前年と比べて10.4ポイントも増加し、社会が大きく変わり始めている兆しと言えそうです。

近年、自治体やこども家庭庁の取り組みなどもあり、地域の保育サービスも充実し、社会が子供を育てやすい環境の整備が進められています。夫婦がそれぞれの価値観にあわせてライフスタイルを選択して、暮らしを充実していける社会が望まれます。

written by ヒノキブンコ

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