
PANG HOUSE ~暮らしのそばに、そっと寄り添う家具屋
韮崎市穂坂町。
ぶどう畑に囲まれた地にたたずむ家具屋

2024年9月、韮崎ICから車で約20分、のどかなぶどう畑に囲まれた場所に、完全オーダーメイドの家具屋「PANG HOUSE(パンハウス)」がオープンしました。店を営むのは、アパレルセールスとして働くパン理恵さんと、メガネブランドのデザイナーとして活躍していたご主人のパン・コーリーさん。ふたりが手がける家具は、飲食店の什器から子ども用のイスやテーブルまで、すべてがオーダーメイドです。お客さまの暮らしや想いに寄り添いながら、一つひとつ丁寧に製作。自宅にある家具の修理やリメイクの相談にも気軽に応じてくれるのが、嬉しいポイントです。

「私はドイツで生まれ、ニューヨークで育ちました。コーリーはマレーシア出身で、社会人になってからはふたりとも東京で長く暮らしてきました。彼は昔から家具づくりが趣味だったんですが、東京のアパートでは音も出せないし、材料を広げるスペースもなかなか取れなくて......。それなら、もう少し静かな場所で、のびのびと暮らしてみたいなと思うようになったんです。とはいえ、仕事柄これからも東京や海外への出張は続きます。そんな中で、自然に囲まれながらも都心へのアクセスが良い山梨は、私たちにとって "ここだ" と心から思える場所でした。」と理恵さんは話します。
ふたりが見つけたのは、築150年の日本家屋。2年かけてご主人のコーリーさんが修復。隣にあった農機具小屋を、ショールームを兼ねた家具工房に。時間をかけて、ゆっくりと丁寧に、新しい暮らしの拠点をつくりあげました。
1点ものの雑貨、コーヒーやお菓子も。
ほっとできるコミュニティスペースのような場所を

ショールームには、理恵さんが「実際に使ってときめいたもの」を中心に、海外出張で見つけた一点モノや、コーリーさんが手がけたお香立てなどが並びます。
「家具って、ふらっと立ち寄ってすぐに買うものではないと思うんです。だからこそ、気軽に足を運んでもらえるような場所にしたくて。子育て中のママさんや、ご近所の方がちょっとお茶を飲みに来たり、誰かとおしゃべりしたりできるような、そんな "余白" のある空間を目指しました。もし将来、おうちを建てるタイミングが来たときに、『そういえば、あの家具屋さんあったな』って思い出してもらえたら嬉しいですね。」と理恵さん。

そんな想いのつまった「PANG HOUSE」は、今ではちょっとしたコミュニティスペースのような存在にもなっています。子ども向けのワークショップや、軽食を楽しめる飲食イベントなども定期的に開催していて、イベントの日には、世代を問わずさまざまな人たちが集まります。コーヒーやクッキーなども購入でき、のんびりとした時間を過ごすことができます。
ここが、誰かの帰る場所になれたら。
山梨の "まだ見ぬ魅力" を、次の世代へ

「先日、山梨出身で今は東京に住んでいる20代の男性3人が、ふらっとお店に立ち寄ってくれたことがありました。『久しぶりに帰省して、地元の今っぽいお店を探して来ました』って。私は小さいときから転勤族として育ったため、正直 "ふるさと" と呼べる場所がなかったんです。だからこそ、帰ってこられる場所があるっていいなと感じました。私は移住者ですが、この場所が家族にとって "帰る場所" になればいいなと思っています。そして、訪れてくれたお客さまにとっても、『あの家具屋さん、また行きたいな』と感じてもらえるような存在になれたら嬉しいですね。」

山梨県に移住して2年。カフェや飲食店のオープンに関わる店舗を中心に、ふたりが手がけるオーダー家具は少しずつ評判が広がり、人気を集めています。そしてこの土地での暮らしを通じて、新たな夢も芽生えているといいます。
「縁もゆかりもないこの地に移住してきましたが、近所のおじいちゃんやおばあちゃんをはじめ、本当に良くしていただいています。この土地には、まだあまり知られていない素敵な人やモノが、きっとたくさんあると思うんです。今後は、そんな "眠っている才能" に少しでも光が当たるようなお手伝いができたらと考えています。」と穏やかに語り合うふたりの目には、この先の暮らしへの優しい期待がにじんでいました。
静かなぶどう畑の中で生まれた「PANG HOUSE」。そこには、家具だけでなく、日々の暮らしにやさしく寄り添う、あたたかな時間が静かに流れています。
Article written by VALEM co., ltd.
PANG HOUSE
山梨県韮崎市穂坂町三ツ澤2149
※詳細は下記URLを参照してください。
https://panghouse.theshop.jp
Instagram : panghouse_furniture
