煙と花~甲州市塩山。喫茶、売店、食品加工所を併設した食の実験場

煙と花~甲州市塩山。喫茶、売店、食品加工所を併設した食の実験場

TETOTETOがつくる~煙と花~という食の空間

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JR中央線塩山駅から車で約5分。観光農園が点在するフルーツラインを山側へ上がると、塩山のまちを眼下に望む場所に「煙と花」があります。運営するのは、全国各地のロスフルーツを活用した商品開発や、自社ブランドの運営、食にまつわるブランディングを手がけてきた株式会社TETOTETO。2025年3月、東京に続く第二の拠点として山梨県に食品加工の拠点を構え、加工所に喫茶と売店を併設した「煙と花」をオープンしました。地域の食やものづくりに触れながら、食を多角的に体験できる場所です。

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代表を務めるのは、井上桃子さん。「最初から、今のような事業をやろうと考えていたわけではありませんでした」と話します。「もともと人が集まるのが好きで、料理好きの夫と一緒に、よく人を家に招いていたんです。東京のマンションの一室をリノベーションしてホームパーティを開くようになり、気づけば年間100回ほど。いろんな人が集まり、話をするうちに、少しずつ相談を持ちかけてもらうようになりました」

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そんななかで生まれたものの一つが、「りんごバター」です。きっかけは、長野県のりんご農家から「台風の被害で傷がつき、販売できなくなったりんごを活かせないか」と相談されたことでした。「りんごとして販売することが難しいなら、別のおいしい形にできないだろうか。そんなところから、りんごバターをつくり始めました」こうした食にまつわる相談に一つひとつ応えていくなかで、次第に今の仕事の輪郭が生まれ、2017年に株式会社TETOTETOを設立。2021年には自社ブランド「nin」を立ち上げ、りんごバターもその代表的な商品に。誕生から10年近く経った今も、多くの人に親しまれています。

東京から塩山へ。 誰かの暮らしだった場所を、食と人が集まる場所へ

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事業が軌道に乗り、加工施設を拡充するため、東京でより大きな物件を探していた井上さん。そんななか転機となったのが、友人であり、山梨を拠点に活動する発酵デザイナー・小倉ヒラクさんに誘われて訪れた、山梨県甲州市の塩山でした。「それまで山梨にはほとんど縁がなかったのですが、訪れたのがちょうどぶどうの実る季節で。空気も景色もすごく気持ちがよくて、『別に東京にこだわる必要はないのかもしれない』と思ったんです。それから毎週のように塩山へ通って、物件を探すようになりました。1年ほど探した頃、不動産屋さんから『予算外ではあるけれど、一応見てみる?』と紹介されたのが、今の場所でした」

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約2,000坪の敷地に建つ、築50年の建物。15年ほど空き家になっていたこの場所に一目惚れし、購入を決めました。もともとは絵本作家の方が自邸として使っていた建物で、かつて暮らしていた人が大切にしていた記憶や空気感を残しながら、少しずつ手を入れていったといいます。「食品加工所と喫茶・売店をつくるにあたって、働く人が毎日気持ちよく過ごせる環境にはこだわりました。一般的な加工所というと、ステンレスの設備が並ぶ機能的な空間をイメージすると思うんです。でも、ここは毎日仕事をする場所でもある。だから、いわゆる“加工所”ではなく、ホテルのように気持ちよく働ける空間にしたかったんです」建物がもともと持っていた雰囲気を残しながら、大きなガラス窓を設け、塩山の景色を望める空間に。喫茶のキッチンと加工所をひとつにすることで、食をつくる営みも、この場所の風景の一部になっています。かつて誰かが暮らしていた場所は、時を経て、食をつくり、人が集まる場所へと生まれ変わりました。

「まずは食べてもらう」から始まる、ランチと喫茶

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「煙と花」で楽しめるのが、TETOTETOがつくる商品と、山梨の食材を組み合わせたランチと喫茶です。「これまでのTETOTETOの活動をより身近に感じてもらい、食を通して新たな発見や気づきにつながれば」という思いから、商品をそのまま手に取ってもらうだけでなく、料理の中で実際に味わってもらうことを大切にしています。ランチは、ナポリタンやグリーンカレーなど、ジャンルにとらわれず、その時々の食材や商品に合わせてメニューを提供。例えばビリヤニには、20種類以上のスパイスを独自にブレンドしたスパイスミックスを使用。さらに、ここでつくっている自社ブランド「ぶどうのワンピース」のグラノーラをアクセントに加えています。スパイスの香りとピリッとした辛さに、グラノーラの甘みと香ばしさ、食感が重なり、ひと口ごとに味わいの変化を楽しめる一皿です。

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喫茶メニューで人気なのは、台湾茶の香りをうつした白餡を使ったどら焼き。TETOTETOがレシピを手がけ、三重県の老舗和菓子屋「大徳屋長久」に作っていただいています。提供する直前にバターを敷いたフライパンで焼き上げることで、外側はほんのりパリッと、中はしっとりとした食感に。りんごバターをつくる際に出る皮を活用した自家製のりんごシロップを、お好みで。華やかな香りが広がり、和と洋が重なる奥行きのある味わいを楽しめます。ドリンクには、コーヒーやチャイのほか、庭で採れた梅や無農薬レモンから仕込む自家製シロップのスカッシュなど、その日の気分に合わせて楽しめるメニューが揃います。

TETOTETOの商品と暮らしの雑貨が並ぶ売店

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カフェに併設された売店では、自社ブランド「nin」「Non-Alchemist」「ぶどうのワンピース」をはじめ、加工所でつくられるできたての商品や、暮らしを豊かにする雑貨を販売しています。販売されている商品の多くは、TETOTETOがこれまで向き合ってきた「困りごと」から生まれたもの。カフェで実際に味わい、気に入った商品を購入できるのも、ここならではの楽しみです。

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和歌山県産のバレンシアオレンジを使ったシロップとドレッシングもその一つ。皮に含まれる油分が多く、商品としてはなかなか流通しにくいバレンシアオレンジを「どうにか活用できないか」という依頼から生まれました。シロップはカフェでも使用しているほか、ドレッシングはサラダに合わせて提供しています。

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山梨に拠点を移してから開発した商品「塩山グラノーラ」は、ワインの醸造過程で出るぶどうの皮や種、いわゆる「ワインパミス」を活用したプロダクト。ワイナリーが多い山梨県では、年間約1万トンものワインパミスが廃棄されているといいます。それらを引き取り、ぶどうの皮を砂糖漬けに加工。栄養成分を生かしながら、オーツ麦やアーモンドと合わせ、香ばしく焼き上げました。パリッとした食感の中に、ぶどうの風味とほのかな甘みが広がる、ひと味違ったグラノーラ。ワインをつくったあとに残るぶどうを、もう一度「食べるもの」へと変えた、山梨ならではのプロダクトです。

食をひらく。その先に、地域とのつながりを

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「『煙と花』という店名は、農家さんが冬の時期に剪定した枝を燃やし、あちこちに狼煙(のろし)のように煙が上がっている風景と、季節ごとにさまざまな植物が咲き乱れているところからつけました。ここに暮らす人たちにとっては当たり前の風景ですが、地域ならではの景色がとても心地よくて。私たちだからこそ気づける視点も活かしながら、ここだから生まれるプロダクトやワークショップなどにも取り組みながら、地域との関わりを深めていきたいです」人が集まる場所から始まり、人とのつながりのなかで形を変えてきたTETOTETOは、果樹畑に囲まれた塩山にも新たな拠点「煙と花」をつくりました。くだものやワイン、発酵など、長い時間をかけて食をつくってきた山梨という土地で、食を入り口に、人と人、人と土地が出会う。そんな新しいつながりが、塩山の丘の上から少しずつ生まれていきそうです。

Article written by VALEM co., ltd.

参考情報

煙と花
山梨県甲州市塩山牛奥5027
営業時間・料金などの詳細は下記URLを参照してください。
https://tetoteto.co/base/kemuhana/
Instagram : kemuri.to.hana

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