クライミングを解説。~アルパインクライミング、ボルダリング、フリークライミング、スポーツクライミングはどう違う?

クライミングを解説。~アルパインクライミング、ボルダリング、フリークライミング、スポーツクライミングはどう違う?

オリンピック種目にもなったクライミング。しかし一口にクライミングと言っても、競技として行うものから、危険を伴い自然の岩壁に挑むものまで、さまざまです。

実は山梨県とその周辺は、日本屈指の高難度を誇る自然の岩のクライミングルートが集中する地域。国内外で活躍するクライマーが、この地で技術を磨き、世界の難ルートへ挑んできました。

今回は、そんな山梨のクライミングエリアの魅力をご紹介しつつ、クライミングの種類を分かりやすく解説します。

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クライミングの種類について

クライミングは「アルパインクライミング」と「フリークライミング」に大別できます。前者は山岳登攀を通した冒険で、後者は己の手足だけを使った身体の探求です。

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アルパインクライミング(山岳登攀)

アルパインクライミングは、山岳地帯で岩壁や雪稜、氷壁などを登り切ることを目指す登山で、クライマーの総合的な能力が試されます。

冒険・探検的な要素が強く、懸垂下降以外でロープを頼ることは基本的に想定していません。ロープは命綱として確かに使いますが、岩の状態やハーケン(岩に打ち込む金具)の入り方によっては、支点が外れたり折れたりするためです。

重い装備を背負ったままの登攀、長い行動時間や標高の高さ、天候急変、ビバーク、ルート判断、撤退判断が求められ、誤れば命の危険が伴います。 

つまり、アルパインクライミングという言葉は、クライミングという名こそついていますが、山岳登攀の手段を指します。

そのため、アルパインクライミングには、アイスクライミング(氷壁を登るクライミング)やクラッククライミング(岩の割れ目に沿って登る難易度の高いクライミング)、雪山登山が含まれます。

アルパインクライミングのグレードは、以下のRCCⅡという基準が歴史的に用いられてきました。

級: 初心者。ハイキング、時々手を使う程度の簡単な岩場

級: 3点支持で登る岩場、登山者向けの岩場

級: 中級者。ロープ確保が必要となるレベル、難しめの岩場

級: デシマルグレードの5.85.9程度、本格的なクライミング

級: 上級者。高難易度で危険な登山。アブミ(ナイロンの短い縄ばしご状のもの)を使った登攀も多用する。長大なルートで逃げ場が少なく、エスケープにも高度な技術が必要。北アルプス・南アルプスの岩壁、谷川岳の衝立岩や瑞牆山の十一面岩などに点在する。

フリークライミング

フリークライミングは、自分の手足の力だけで岩壁や人工の壁を登るクライミングです。

ルートは深いボルトで整備され、手足の限界を迎えれば、いつでも落ちてもいい、という前提で登ります。危険が少なく、競技化しやすい面もあります。

フリークライミングの種類には、ロープを使って10メートル以上の高い壁を登る「リードクライミング」や数メートルと短い壁を登る「ボルダリング」などがあります。

 ボルダリングは「ルート」ではなく「課題」と呼ばれ、短い距離である分、指先のわずかなとっかかりだけでぶら下がったり、「ランジ」と呼ばれるカエルのように飛び出して先のホールドをつかむ動きも駆使されます。

いずれも、屋内でも野外でも楽しめます。野外では「外岩」と呼ばれ、人気の外岩エリアが国内にいくつもあります。「今週、外岩に行くけど、一緒に行く?」なんて会話がクライマー同士でよく交わされます。

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2020年東京オリンピックで正式種目となった「スポーツクライミング」には、どれだけ速く登れたかを競う「スピード」、課題をいくつ登り切れたかを競う「ボルダリング」、どこまで高く登れたかを競う「リード」の3種目があります。

これらはすべて、このフリークライミングの一種です。一方、アルパインクライミングは、危険を伴う冒険・探検なので、オリンピック競技にはできません。

近年は全国にクライミングジムが増え、子どもから大人まで気軽に始められるスポーツとして注目を集めています。初心者から上級者まで、自分のレベルに合わせて課題に挑戦できるので人気です。

リードクライミングのグレードは以下のように分けることができます。

5.65.8:初心者。トップロープ中心、登れる楽しさを覚える段階。

5.95.10a:初級者。リードを始める人が多い

5.10b5.11b:中級者。技術・持久力が必要。

5.11c5.13c:上級者。高い持久力、確かなムーブ技術が必要

5.14以上:国内でも一握りの超上級者。

ボルダリングのグレードには、日本では段級が使われます。「初段」を登ることが多くの人の一つの大きな目標となっています。

6級〜4級:初心者。ジムで基礎を楽しむ段階。

3級〜1級:初級者。一定の筋力やムーブが求められる。

初段〜二段:中級者。外岩でも通用し始める。

三段〜四段:上級者。指先の強さや高度なバランス感覚、瞬発力が求められる

五段以上:国内トップクラス

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山梨県内・周辺のクライミングエリア

山梨県とその周辺は多彩なクライミングの岩場に囲まれ、全国からクライマー・登山家が集まる場所です。

ボルダリングからフリークライミング、アイスクライミング、クラッククライミングまで、同じ地域でこれほど多様なクライミング文化が根付いた場所は世界的に見ても珍しいと言えます。 

そんな山梨周辺のクライミングエリアの魅力をご紹介します。

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1. 瑞牆山(みずがきやま)

山梨県北杜市に位置する瑞牆山は、国内最難関のクラッククライミングのエリアとして知られています。花崗岩の巨大な岩峰が林立する景観は、クライマーだけでなく、一般登山者も惹きつけます。

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瑞牆山の全容

なかでも「十一面岩」は長いクラックが垂直に複数走る岩壁で、「春うらら」など国内トップクライマーでも容易には完登できない難関ルートが多くあります。

トップクライマーは、ここ瑞牆山のクラックルートで登攀技術を磨き、海外の山へ挑んできました。

2. 甲斐駒ヶ岳エリアの岩壁

登山者に人気の甲斐駒ヶ岳ですが、そのすぐ下は400メートルの岩壁がそそり立つ場所です。そこに長大なクラックルートが点在します。

クラックラインを辿りながら高度を上げていくと、まるで天空で歩いているような感覚になります。ルートも長いため、技術と体力、経験が試される本格ルートです。

3. 北岳バットレス

日本第2峰、北岳。その東面にそびえる北岳バットレスは、日本を代表するアルパインクライミングの名所です。

高さ約600mの岩壁は国内屈指のスケールを誇ります。近年、大規模な崩落が発生し、一部ルートが変化しましたが、今でも初中級者向けのルートとして人気があります。

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北岳バットレス

4. 小川山

長野県川上村に位置する小川山は、日本一有名なフリークライミングエリアです。

森の中に、フリークライミングのルートとボルダリングの課題が広がります。「ローリングストーン」「クレイジージャム」など有名ルートに挑戦するため全国から上級者クライマーが訪れる一方で、5.9以下の初心者が楽しめるルートも豊富です。。夏でも涼しい高原キャンプで長期滞在する人も多いようです。

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小川山エリア

5. 黄連谷(おうれんだに)

甲斐駒ヶ岳の北東面に位置する黄連谷は、厳冬期に氷瀑群に変わります。

純粋なアイスクライミングの技術だけでなく、雪崩や氷瀑崩落の判断、厳しい寒さへの対応、長時間の行動を支える体力など、アルパインの要素が高くなります。

国内外で活躍する著名なクライマーたちも、この谷を訓練の場として選びます。

6. 大同心(だいどうしん)

八ヶ岳連峰の横岳西面に位置する大同心は、全国的に有名なアイスクライミングエリアです。大同心稜、小同心クラック周辺に形成されるいくつもの氷瀑、氷柱は、初級者向けから上級者までレベルに応じて楽しめます。

岩も混じる雲稜ルート(ミックスクライミング)もあり、冬壁をめざすクライマーの練習場所となっています。

東京からのアクセスが良く、また赤岳鉱泉をベースにアプローチできる利便性から人気です。

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大同心周辺

以上、山梨・山梨周辺のクライミングエリアの紹介についてでした。

クライミングはやったことがないけど興味がある人、クライミングジムで基礎を身につけている人は、都心から近く、自分のレベルに合ったルートや課題を選びやすい山梨の「外岩」へ足を向けてみるのもいいかもしれません。自然の岩と向き合う時間は特別なひとときです。

written by ヒノキブンコ

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