よく見かける針葉樹9種の見分け方
公園や道ばたでよく見かける針葉樹。広葉樹と比べると、針葉樹はどれも同じに見えますが、葉っぱを見れば意外と簡単に木の名前が分かります。
しかも針葉樹は落葉しないので、葉っぱを一年中観察できるのが強み。高い木で手が届かなくても大丈夫です。足元を見てください。落ち葉で見分けることができます。
今回は、山梨を中心に関東・中部で身近な針葉樹9種の見分け方をご紹介。ちょっとしたコツを知るだけで、いつものお散歩や山歩きの景色がぐっと変わりますよ!
ヒノキ(檜)
ヒノキの葉
ヒノキの樹皮
【見分けポイント】
葉っぱが赤ちゃんの手のようにぷくぷくしていてかわいい。細かく鱗(うろこ)状に重なり、葉の先端が丸みを帯びるので、触っても痛くない。
【特長・分布】
東北南部から九州まで広く分布。ヒノキの天然林は非常に限られますが、植林のヒノキ林は身近。法隆寺や伊勢神宮の柱にもヒノキが使われ、耐久性が極めて高く、千年以上もつとされます。
スギ(杉)
スギの葉
スギの樹皮
【見分けポイント】
葉が太く尖っていて、触ると少し痛い。
【特長・分布】
北海道から九州まで分布。全国的に植林され、寺社や住宅建築で使われる一般的な木材です。樹齢数千年になることも(屋久島の縄文杉など)。山梨県内でも、「湯島の大杉(早川町)」が推定樹齢1200年、「富士太郎杉(富士吉田市・北口本宮冨士浅間神社)」が推樹齢千年と、非常に古いスギが生えています。
アスナロ(ヒバ)
アスナロ(ヒバ)の葉
アスナロ(ヒバ)の樹皮
【見分けポイント】
ヒノキの葉に似ていますが、鱗状の葉ひとつひとつが大きく、葉の先端は鈍いのが見分けポイント。ヒノキの葉の先端は丸みを帯びます。
【特長・分布】
「明日はヒノキになろう」という意味からこの名が付けられました(異説あり)。ヒノキに劣らず、香りが強く、耐久性が高い良材です。
ネズミサシ(鼠刺し・ネズ)
ネズミサシの葉
ネズミサシの樹形
【見分けポイント】
非常に鋭く尖った葉で、少し触れただけでも、痛みがあり、バラのように手に刺さることもあります。枝は垂れ下がってから、枝先が上を向くのが特徴。
【特長・分布】
鋭い葉をネズミの通り道に置くと、ネズミが嫌がって通らなくなる、というのがネズミサシという名前の由来です。
成長はとても遅く、根際の直径わずか8cmで樹齢92年の例もあるほど。その分、材は硬く緻密で、昔から家の柱や農作業の支柱、魚網、稲を干すはで木に利用されてきました。
ネズミサシはジンの香料となるジュニパーベリーの近縁種で、ネズミサシの球果を使ったクラフトジンが広島県で開発され、2018年にイギリスの酒類品評会で金賞を受賞するなど高い評価を得ています。
カラマツ(落葉松・唐松)
カラマツの葉
カラマツの樹皮
【見分けポイント】
葉は短い針状でやわらかく、束になって枝(短枝)から生えます。
一本の幹がまっすぐ空へ伸びるいかにも針葉樹らしいシルエットで、冬に葉がなくなって枝だけになるものが、カラマツです。
【特長・分布】
日本の針葉樹で唯一、冬に落葉する針葉樹で、落葉松とも言われます。ただ、分布は限られ、天然林は山梨県・長野県の900m以上の火山性山岳地帯に自生します。他の地域ではごくまれに自生地が見られます。
八ヶ岳山麓では10月下旬からカラマツ林の黄葉が美しく、春は目の覚めるような黄緑色の新緑で、こちらも圧巻です。
秋のカラマツの黄葉
春のカラマツの新緑
アカマツ(赤松)
アカマツの葉
アカマツの樹皮
【見分けポイント】
短枝から2本の葉(針状葉)が生えます(二葉松)。手で触ると柔らかくしなります。樹皮は赤褐色をしていて、個体によっては、かなり赤みが強くなります。
【特長・分布】
アカマツは山梨県内の山林に広く自生しています。近所の山から良質な大径材が入手できたので、昔から家の梁に使われてきました。
クロマツ(黒松)
クロマツの葉
クロマツの樹皮(三保の松原)
【見分けポイント】
短枝から2本の葉(針状葉)が生えます(二葉松)。葉はアカマツとよく似ていますが、太く硬いのが特長で、指で触っても簡単にしなりません(アカマツは簡単にしなります)。また、クロマツの葉は10〜15cmほどあるのに対し、アカマツは7〜12cmと、アカマツよりクロマツの方が葉が少し長いのが特長です。
アカマツと比べると、ゴツゴツした黒い樹皮をしています。
【特長・分布】
潮風に強く、海岸に多いのが特長で、庭木や防風林としても多く植えられてきました。丈夫で育てやすいこともあり、盆栽としても人気が高く、「松の盆栽」と言えばクロマツを指します。
モミ(樅)
モミの葉
モミの葉の先端は2つに割れている(幼木ははっきり深く割れ、成木は浅く少し割れる)
モミの樹皮。幼木はつるつるした樹皮、成木は鱗状に裂ける
【見分けポイント】
平たい葉が櫛状に並びます。葉の先端が2つに割れているので、他の樹種と区別できます。幼木はとくにはっきり深く割れ、成木は浅く少し割れます。
【特長・分布】
日本に自生するモミ属は5種(モミ、ウラジロモミ、シラビソ、オオシラビソ、トドマツ)しかなく、うちトドマツは北海道のみに自生します。それ以外の4種は本州以南に分布しますが、モミ以外は標高1000m以上の山地帯・亜高山帯に自生するので、公園などで見かけることはまれです。
ただし、山梨県は標高が高いため、ウラジロモミが優占している森も多いようです。そんな時は葉の裏を見ます。もしも下の写真のように白い筋が2本見えたら、モミではなくウラジロモミです。ウラジロモミの葉の先端は割れず、丸みを帯びています。
ツガ(栂)
ツガの葉
ツガの樹皮
【見分けポイント】
ツガの葉はモミよりずっと小さく、先端が丸みを帯びているので区別できます。また、葉の付け根に「葉枕」という茶色い膨らみがあります。葉枕はツガ属には見られますが、これはモミ属にはないので区別できます。
【特長・分布】
ツガ(栂)は本州、四国、九州の低地から標高1,500m付近まで分布します。
強度が高く年輪が美しいため、高級建材として柱や床材、鴨居などに使われてきました。
ツガに似ている木にコメツガ(米栂)があります。ツガよりもさらに葉が小さく、1,500m〜2,000m以上の亜高山帯に自生します。
以上、身近な針葉樹の見分けポイントでした。
いままで同じに見えていた針葉樹も、名前や特長が分かると、いつものお散歩の楽しみがひとつ増えそうですね。
written by ヒノキブンコ
ホームに戻る