盆の「笈形焼き」見送り

盆の「笈形焼き」見送り

 笛吹市春日居町地区の盆の恒例行事として親しまれてきた「笈形焼き」が、昨年から実施できない状況が続いている。使用している電灯が老朽化により漏電の恐れがあるためで、火災防止などの観点から笛吹市などが判断し、今夏の点灯も見送ることになった。復活に向けた見通しは立っておらず、地元関係者は「復活できる方法がないか探りたい」と話している。
 笈形焼きは同地区の御室山に、山伏が使用した入れ物の「笈」をかたどった形に火をともす盆の行事。地域の伝説では、平安時代に同地区の長谷寺と、大善寺(甲州市)の僧侶による争いが起きた際、僧侶の笈を燃やしたことに由来すると伝わる。紛争による寺の犠牲者を供養するために始まったとの説もあるという。
 笈形焼きは明治時代以降断絶していたが、1988年、旧春日居町が電灯90個を設置して再現。盆のほかに、毎年春のイベントなどで点灯していた。
 笛吹市観光商工課によると、昨春の点灯に向けて点検したところ、老朽化による電圧異常が見つかり、漏電による火災などの可能性があるため、点灯を取りやめた。電球の生産も終了していることから、再開するには多額の費用がかかる見込みで、今後の再開は「見通しが立っていない」(笛吹市担当者)という。
 神社の氏子が「春日居町笈形焼保存会」のメンバーを務めるなど関係が深い山梨岡神社(同市春日居町鎮目)の中村司宮司は「伝統行事が途絶えてしまうのは残念なこと」と話す。
 春日居町観光協会などは笛吹市に対し、再開を求める要望をしている。同協会は「(笈形焼きは)春、夏の地域の観光資源でもある。復活に向けてできることを市などと協力して話し合っていきたい」としている。

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