鵺(ぬえ)の異名をもつ「トラツグミ」ってどんな鳥?

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山梨をはじめ全国にはさまざまな野鳥がいますが、トラツグミほど不気味な逸話を持つ鳥はいないでしょう。

あまり見かける鳥ではありませんが、ここ山梨にも生息しています。

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トラ柄の模様が特徴

トラツグミとは?その特徴や生態について

トラツグミはツグミ科の鳥で、体長は30cm前後。ハトより少し小さいくらいの大きさです。

本州では留鳥として一年を通して暮らしていますが、見かけるのはほとんど冬。ふだん山地にいるのが、冬は越冬のため低地に降りてくるためです。

オオルリやオオタカほど珍しい鳥というわけではありませんが、かといってスズメやシジュウカラのように簡単に見つけられる鳥でもないので、予期せず見かければ、野鳥ファンも足取り軽やかになります。

虎斑模様で周囲に溶け込む

トラツグミの体色は特徴的で、黄褐色、白色、黒色に染まる羽が混じり合う虎斑模様。

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トラツグミの体羽(首の部分)

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一枚の体羽が灰色、白、黄褐色、黒色からなる

この模様は一見派手に見えますが、自然環境と同化しやすい保護色の役目を持ちます。そのため、林の中や落ち葉の地面でトラツグミが静止すれば、たちまち周囲に溶け込み、どこにいるかまるで分からなくなります。

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虎斑模様が保護色となり、落ち葉にすぐに溶け込む

落ち葉をひっくり返してミミズや昆虫などを見つけて食べる習性があるため、どうしても地面にいることが多いトラツグミ。トラ模様はその生存戦略の一役を担っています。

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午頭島公園(山梨県韮崎市)で見かけたトラツグミ

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トラツグミの風切羽。黄土色、白、灰色からなる。

ブランコがきしむ不気味な音〜鵺(ぬえ)と言われた鳥

トラツグミは夜に「ヒョー、ヒョー」となんとも不穏な音で物寂しげに鳴きます。ブランコがきしむような音とも形容されます。YouTubeで「トラツグミ 鳴き声」と検索すると簡単に聞けますが、これが鳥の声だとは到底思えません。 昔はこの不気味な鳴き声を「妖怪の声」と考える地域もあったようです。万葉集や古事記には「夜に鳴く鳥」と書いて鵺という記述が見られますが、これはトラツグミを指すと専門家は考えています。平安時代や鎌倉時代、室町時代の逸話にも鵺(ぬえ)という妖怪がたびたび登場します。たとえば以下は平家物語の一節です。 --御所に毎晩、鵺の不気味な鳴き声が響きわたり、二条天皇がそれを恐れて病にかかってしまい、祈祷をしてもよくならず、武士たちに鵺退治の命令が下った また、歌川国芳の浮世絵「木曽街道六十九次」にも、サルの顔をし体はトラとタヌキとヘビが合わさったような恐ろしい姿の妖怪が描かれています。この絵には「京都 鵺 大尾」と書かれています。

筆者も昔、白州のキャンプ場で東京から来た友人と夜に焚き火を囲んでいた時に、山の方からトラツグミの音が聞こえ、恐怖を感じたのを覚えています。現代ならともかく、山のことが分かりきっていない時代にこの声を聞いたなら、それは怖かったはず。松明では音の犯人を見つけることはできないですからね。 以上、「鵺の異名をもつトラツグミ」でした。冬に落ち葉の多い山沿いの公園で、地面や低木の枝を探すと見つけられるかもしれません!

written by ヒノキブンコ

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