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モモハナ Vol.2(Introduction of MOMOHANA)

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日本一有名な昔話を、山梨のものとして再編集

―販売戦略もきっちりしてますね。ちょっと切り口を変えて、竜沢さんは大月市の「桃太郎伝説」の真偽ってどう思います?

 桃太郎伝説は地域の民間伝承として各地で語り継がれていて、全国の桃太郎ゆかりの自治体が集まって「桃太郎サミット」が開かれているんですよ。

―桃太郎サミット! それは興味あります。一般的な認識だとやっぱり岡山県が有名な印象があるんですが。

 知名度では岡山県がいちばんなんですけど、実は岡山県の桃太郎伝説はいちばん新しいとされているんですよ。岡山県が桃太郎を観光のPRの材料として力を入れたので、認知度はたしかに全国区ですね。

―意外ですね。比べて、大月はどうなのでしょう?

 知名度はないですけど、大月は地名として桃太郎にちなんだ名前がたくさん残っているんです。

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にぎりめしの笹をイメージした紙を使用し、可愛らしさを重視して4つ入りの箱を新規で製作。こだわりが詰まったパッケージとなっている。

「売れる」ワインの地域ブランディングを探るために留学

―有名な民間伝承のストーリーが山梨県の大月市にあるっていうのはいいですね。それを発掘して、今の若いコたちに向けて再提案するっていうことをモモハナはやっている。竜沢さんのような若い人が、古い民間伝承を編集することに意味がありますよね。大学と並行して今後はどのように事業を展開していく予定ですか?

 大学をお休みして留学しようと考えています。それも地域振興というテーマが根底にあるんですけど、海外の地方都市がどのように魅力を発信しているのかを実際に体感して学びたいと思っています。商品開発、プロデュースだけをしていても、人を動かすのに限界はあるなと感じてるので。もっと広い視点で、何をすべきなのかというのが今後の課題ですね。

―なるほど。すでに留学する国や地域は決めているんでしょうか?

山梨独自の魅力にワイン文化があるので、それに関連した地域へ行こうと思っています。具体的に言うとフランスのボルドーですね。ワインの本場ですし、地域ブランディングの力がすごいです。山梨も「日本のボルドー」なんて言われていますけど、そこにはまだ絶対的なギャップがある。リアルな情報、ノウハウを取り入れて、それを山梨に持って帰ってこられたらいいなと。

―実際にボルドーに行かれて勉強されている山梨の醸造家さんは多いですよね。

醸造家さんで行っている人は多いんですけど、「醸造」の視点ではなくて「広告」的な視点で、ワインのブランディングやマーケティングのノウハウを学びたいんです。つくり方ではなく、売り方ですね。

―たしかに、売る視点を持った人がいないといいワインが地元にあっても活かせないということですね。そういった視点でボルドーに行くっていうのは新しい気がします。でも、パリにもいきたくなりますね(笑)

パリジェンヌとして生活するのも憧れますけど(笑)わたしが行くべき場所はボルドーだと決心しました。ウォーミングアップとして2ヶ月間は何度か行ったことがあるフィリピンに語学留学します。

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若いクリエイター、プレイヤーを増やしたい

―楽しみですね。大学を卒業したあとのビジョンは今あったりしますか?

 今、根本的な"まちづくり"って山梨ではできていないと思うんですよね。それが本当に悔しくて。以前よりは盛り上がっているけれど、それでもまだ地方都市に若者が来ないし、いない。みんな東京やその他の大都市に行ってしまう。わたしの友達もほとんどが他県に移ってしまいました。その現状をなんとかしたいっていう気持ちがすごく大きいです。

―同感です。若い人たちの受け皿がないというか。働き方の選択肢が大都市に比べて極端に少ないという事実はありますよね。好きなことを仕事にできる環境や機会は圧倒的にないのが問題ですよね。若い世代がリアルに興味を抱けるようなファッションやアートのカルチャーも乏しい。あったとしても、広く知られてなければないようなものですよね。 僕はメディアに携わることが多いので、数少ないなかから情報をピックアップして若い世代の人に魅力的に伝えられるよう努めています。

そうなんです。今は個人事業主なんですけど、会社化して若い世代の人たちが好きなことをして働ける受け皿をつくっていきたいです。

―若いクリエイターさんで循環できるような環境が山梨でできたらいいですよね。そういった環境が乏しいなかで、あえて竜沢さんが山梨にこだわる理由はなんでしょう?

人との繋がりとか、スケール感が好きです。あと、わたしみんながイイっていうほうに単純に流されるのがイヤなタチで(笑)逆を張りたくなるんです。「東京がイイ」っていうのももちろん理解できます。でもわたしはライフスタイルとしてマッチしないという思いの方が強い。すきまのない東京よりも地方都市だからこそ、まだまだできる余地があると思うんです。面白い人やすごい人いっぱいいるので。若い世代で盛り上げていかないともったいないですよね。今よりもコンテンツをつくっていけるように頑張ります。

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「モモハナ」を通じて山梨の"素敵"を伝える

―飽和状態の東京の隣りで山梨は完全にプレイヤー不足ですからね。竜沢さんのような若いプレイヤーが増えたら活気が出てくると思います。

さっきも言ったように甲府南高校を卒業したとき、友人の9割が東京や他県に行ってしまって。「桃太郎もち」をつくったのも、他県に出てしまった友人や、山梨に住む若い人たちへの選択肢の提示なんです。「何で山梨にいるの? 」なんてことも言われるので、こういうやりかたもあるよ。っていう意志表示ですね。

―「桃太郎もち」のようなものだとお土産として活用してもらえるし、かたちにすることは大事だと思います。

東京の友人が、「このお土産、友達がプロデュースしてるんだよ」って自慢してもらえるようにするのが目標です。自分が携わったものを通じて、山梨が素敵な場所だと思ってもらえたら最高ですね。あとは海外に目を向けて山梨と海外の地方都市同士の交流を促して、橋渡しのようなことができたらいいなと思っています。

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Article written by VALEM co., ltd.

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 本稿でご紹介している竜沢華林さんは、公益財団法人山梨中銀地方創生基金の「平成29年度 第1回起業・創業に対する助成」 において、助成先として選出されました。
 公益財団法人山梨中銀地方創生基金は、地方創生に関わる 企業・団体・個人等の地域創成の画期的なビジネスモデルに対し助成を通じて、山梨県の地域社会の繁栄と地域経済の活性化に取り組んでいます。

【山梨中銀地方創生基金ホームページ】
https://www.yamanashi-chihousousei.or.jp/


モモハナ 代表 竜沢華林

山梨県立大学総合政策学部総合政策学科所属。地域振興に携わり、在学中にプロデュース事業「モモハナ」を起業。山梨県大月市に伝わる「桃太郎伝説」をモチーフに、現代風にアレンジ。地域の魅力を発信する商品開発と販売をおこなう。今後も山梨の魅力発信に関わる事業を展開していく。

※「モモハナ」詳細や最新情報は下記URLを参照してください。
モモハナfacebook ページ
https://www.facebook.com/momohana2017/

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