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オオタカ~一時は絶滅危機に。その後、都会に適応

鳥に詳しくなくても、オオタカという名前なら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

江戸時代から鷹狩りに利用され、人々に親しまれてきたオオタカ。開発などで一時は絶滅手前まで数を減らし、現在は全国的に生息数が回復しました。ここ山梨でも、山沿いの道路を走れば、上空で見かけることができます。

オオタカの特徴、生態

オオタカは全長50~60cm、ちょうどカラスくらいの大きさの猛禽類です。北海道から九州にかけての亜高山帯や山地、里山、平野部に分布しています。一日一回、ハトや小鳥などを襲って食べます。

成鳥と幼鳥で模様が違うのも特徴の一つ。

ootaka_02.jpg成鳥はムネに横縞が目立つ(画像出典:photoAC、俱利伽羅さんより)

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幼⿃の胸は縦縞(画像出典:スモールズー)

端正な顔立ち、漂う静かな緊張感。動物の表情には、いつもはっとさせられます。

オオタカの保護の歴史~一時は絶滅危機も

森に住むオオタカは、森林開発・宅地造成などに伴い、1980年代までに個体数が激減。1984年の調査で全国の生息数が300~500羽程度と報告されると、絶滅の恐れがあるとして「希少野生動植物種」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律。通称、種の保存法)に指定され、法律で保護されました。オオタカの営巣地が見つかった場合、オオタカへの影響が調査され、影響が認められたら周辺地域の道路工事や建設が見直しになりました。

そんな保護活動が功を奏し、個体数が回復。環境省レッドリストにおいては2006年に絶滅危惧II類 (VU) から準絶滅危惧種(NT)に引き下げられ、2012年も同様にNTとなったことから、2017年「希少野生動植物」の解除が決まりました。2008年の調査では、関東周辺だけで約5800羽が確認されるまでに。

そのような経緯で、オオタカは絶滅の危険を回避したわけですが、生息数が増えたのは保護活動以外にも原因があったとか。

オオタカの人里、都会への進出

それがオオタカの人里、都会への進出です。もともと森に住むオオタカは、近年、東京の都市部などに出現するようになり、繁殖も始めました。今では、皇居や上野駅周辺の公園で頻繁に観察され、高層ビルでの営巣も報告されています。

オオタカが都市部に進出したのは「都会に多いドバトをエサにするようになったから」「森で個体数が増え、食料や縄張りが足りなくなったから」などと言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。

また一方で、最近はそんなオオタカの個体数増加も頭打ちとなり、緩やかな減少傾向にあるという報告もあります。ふたたび絶滅危惧Ⅱ類(VU)へランク上げするほどではないようですが、今後もモニタリング調査する必要があると専門家は呼びかけています。 オオタカは生態系の頂点に立つからこそ、ささいな環境変化や気候変動の兆候を、いち早く生息数という形で表すようです。

山梨でのオオタカの状況

山梨でも、山沿いや川沿いの道路からオオタカを見かけることは少なくありません。調査データはあまりないようですが、ここ山梨でも比較的多い数が世代を繋いでいるようです。

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山梨県内の道路沿いから見かけたオオタカ。大勢のカラスに囲まれても、とくに取り乱す様子はなかった

written by ヒノキブンコ

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