ページ内を移動するためのリンクです

虫ファンのための山梨のススメ

ようこそ虫の聖地、山梨へ!

豊かな自然に恵まれた山梨は、全国の昆虫ファンが憧れる人気スポット。休日ともなれば、関東はもちろん関西からも多くの愛好家が採集に訪れます。

ここでは、そんな山梨ならではの魅力的な昆虫や、虫好きにたまらない施設をご紹介します。

魅力的な山梨の地勢

山梨県は約8割を山が占めていますが、それぞれの山の規模や成り立ちが異なるため、国立公園や世界遺産、ユネスコの自然保護制度に複数箇所が登録されています。西には「南アルプス国立公園」と「南アルプスジオパーク」、北西には「八ヶ岳中信高原国定公園」、南には「富士箱根伊豆国立公園」と「世界遺産・富士山」、北東には「甲武ユネスコエコパーク」と「秩父多摩甲斐国立公園」があります。

これほど近い距離に自然財産が集まる地域は全国的にもまれです。この山梨の地勢が昆虫の多様性を生みます。

yamanashi.mushi_01.jpg

出典:国土地理院電子国土WEB(陰影起伏図、自分で作る色別標高図、標準地図を合成)

山梨ならではの魅力的な昆虫たち

それでは、山梨ならではの魅力的な昆虫たちをご紹介します!

オオクワガタ

オオクワガタといえば、子どもから大人まで人気の高いクワガタです。北海道から九州まで広く分布していますが、警戒心が非常に強く、コクワガタやノコギリクワガタのように目立つ場所に姿を見せることはほとんどありません。そのため見つけるのは難しく、それがまた人々の憧れをかき立てています。

生息地はクヌギやコナラといった広葉樹林で、木にできた「ウロ(空洞)」を住みかとし、産卵もそこに行います。特にウロができやすいのは「台木」と呼ばれる木です。台木とは、薪利用のためクヌギなどを地上1〜2メートルで幹を絶ち、その切り口の脇から再生した枝を長年利用してできた太い木のこと。こうした台木の風習はもうなくなりましたが、今もその台木が多く残っている山梨県韮崎市や甲斐市は、オオクワガタが生息する地域として知られています。

しかし近年は、開発による環境の減少や乱獲の影響で野生個体数が減少。環境省のレッドリスト2020では「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」、山梨県の2018年版レッドデータブックでは「絶滅危惧ⅠB類(EN)」に指定されています。

yamanashi.mushi_02.png

現在、山梨のオオクワガタは採集が禁止されているわけではありませんが、たくさんの個体を捕まえることは控えましょう。公園やキャンプ場によっては採集が禁止されている場所もあります。

yamanashi.mushi_03.jpg

山梨に昆虫採集に来た方に見せてもらった韮崎産オオクワガタ

山梨県はカミキリムシの宝庫

カミキリムシと聞くと、「庭木に穴を開けて枯らしてしまう害虫」というイメージを持つ方も多いかもしれません。けれど実際には、害虫と呼ばれるのはほんの一部で、大半は森の生態系に欠かせない存在です。

日本には800〜900種ものカミキリムシが生息しており、それぞれが特定の木を「ホスト」として暮らしています。幼虫はその木がないと生きていけないため、もし木がなくなると、そのカミキリムシも姿を消します。たとえばネムノキという落葉高木をホストにする希少種スネケブカヒロコバネカミキリ(通称、ヒロコ)は、ネムの木がなくなるとそのエリアからいなくなります。

yamanashi.mushi_04.jpg

山梨県でみつけたスネケブカヒロコバネカミキリ

山梨県は生息するカミキリムシの種類が多く、とくに金峰山や大菩薩嶺山麓で人気なのが「ピドニア」や「サペル」と呼ばれるカミキリムシの仲間です。種ごとに異なる繊細な模様を持ち、前者は花の花粉を、後者は葉の葉脈を食べます。限られた時期にだけ森に現れ、木々の間をゆっくりと舞う姿はまるで妖精のようです。標高ごとにちがう種類のピドニアやサペルに出会えるので、まるで宝さがしをしているような楽しさがあります。

yamanashi.mushi_05.jpg

大菩薩山麓で見つけたピドニアの一種、ヨコモンヒメハナカミキリ

yamanashi.mushi_06.jpg

サペルの食痕。葉脈だけを器用に食べるので、その部分が茶色く変色する。

yamanashi.mushi_07.jpg

南アルプスで見つけたサペルの一種、ハンノアオカミキリ。金属光沢が美しい

ゴミムシ

ゴミムシというネーミングは少し可哀想に感じられるかもしれませんが、実際にゴミを食べるわけではありません。昔はゴミの近くでよく見つかったことから、このように呼ばれるようになりました。実際には、里山や森で暮らす種の方が多く、山地に咲く花の花粉を食べる種も数多くいます。

ゴミムシは国内だけでも800種以上が知られていますが、その中には絶滅危惧種も少なくありません。

それはゴミムシの特殊な生態によります。ゴミムシは種ごとに「河原の水ぎわ」や「湿地」、「山地の谷間」、「砂丘」、「土がむきだしになった斜面」など限られた特殊な環境をすみかや繁殖場所にしていることが多く、飛翔できない、あるいは、できるとしてもトンボや蝶のように長距離を移動できないため、開発の影響を強く受けやすい昆虫と言えます。

そのために絶滅の危機に直面しているゴミムシが多いのです。

クロズジュウジアトキリゴミムシは、自然豊かな長野県でさえ準絶滅危惧 (NT)、山梨県で情報不足(DD)に指定され、専門家でも15年に一度見かけるかどうかというとても希少な種です。その生態は詳しく分かっていません。

yamanashi.mushi_08.jpg

山梨県韮崎市で見つけたクロズジュウジアトキリゴミムシ

yamanashi.mushi_09.jpg

セイボウ

セイボウ(青蜂)は金属光沢を持つ美しいハチで、「飛ぶ宝石」と呼ばれています。

このハチは、ドロバチなど他のハチの巣に卵を産んで幼虫を育てる寄生性の生態を持ちますが、セイボウの宿主となるハチが生息すること、またセイボウの餌となる蜜を出す花が豊かにあることから、山梨県では多くの種類のセイボウを見ることができます。

以下に紹介するセイボウも、すべて山梨県で見つけたものです。

ooseibou_04.jpg

虫好きにおすすめの山梨の施設・ペンション

山梨にあるとっておきの虫の施設をご紹介します。

北杜市オオムラサキセンター(山梨県北杜市)

omurasakicenter.jpg

オオムラサキセンターは、都会ではなかなか見ることができないオオムラサキを、自然に近い環境で観察できる施設です。

併設された網張りの施設「びばりうむ長坂」では、オオムラサキが羽ばたく音が聞こえるほど近くで飛び交う姿を楽しめます。これを目当てに県外から訪れる来館者も多いようです。

yamanashi.mushi_10.jpg

地元リピーターも多いのは、見所が多いから。施設の庭から地続きになった森や池では、カブトムシやクワガタ、ゲンゴロウ、カミキリムシ、タマムシなどさまざまな昆虫を観察することができます。

虫たちの宝庫ともいえるこの場所、虫好きなら一度は足を運んでみたいスポットです。

【北杜市オオムラサキセンター】
〒408-0024 山梨県北杜市長坂町富岡2812

ペンションすずらん(山梨県甲州市)

yamanashi.mushi_11.jpg

ペンションすずらんは、都心から一時間半、大菩薩山麓にある宿泊施設です。

山菜採りや渓流釣り、きのこ狩り、バードウォッチングなど四季折々の自然遊びを楽しめる拠点として人気ですが、特に「虫屋」の中で有名な場所です。

虫屋とは、専門家やアマチュアを問わず、昆虫を深く愛し、情熱を注ぐ人たちのこと。このペンションには、カミキリムシ屋、タマムシ屋、蛾屋などさまざまなジャンルの虫屋が集まり、それぞれの好奇心と熱意が交わる場所となっています。

そのワケは、この山域がもともと昆虫の多様性が非常に高い場所であること、そしてペンションの計らいにより虫探しを心ゆくまで楽しめる仕掛けと遊び心が随所に用意されているためです。

たとえば「ライトトラップ」。虫が光に集まる習性を利用して、夜に白い布を立て光を当てることで虫を集める仕掛けです。ペンション敷地にこのライトトラップが設置されているので、参加者は手軽に本格的な昆虫採集を楽しめます。シーズンになると、ミヤマクワガタやアカアシクワガタが飛来する瞬間に立ち会え、子どもたちは大興奮!

もしも家族の中に虫ファンがいるなら、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?

yamanashi.mushi_12.jpg

【ペンションすずらん】
〒409-1211 山梨県甲州市塩山上萩原4784

昆虫採集の注意

昆虫採集にはいくつか注意点があります。

まず昆虫採集禁止の場所があります。たとえば、国立公園の「特別保護区」は昆虫採集禁止です。どのエリアが特別保護区かは以下のサイトから見ることができます。

日本の国立公園WEBマップ

※対象エリアを右ポップ一覧から選ぶと、特別保護区が色分けされて地図上に表示されます。

他にも条例等によって特定の昆虫の採集が禁止の場合があるので、事前に自治体などに確認しましょう。禁止されていなくても、珍しい種や環境省や都道府県等による絶滅危惧指定種をむやみに採集するのは控えましょう。

以上、「虫ファンのための山梨のススメ」でした。山梨県は首都圏からも近く、昆虫観察や採集に最適な場所です。ぜひ友だちやご家族と訪れてみてはいかがでしょうか?

written by ヒノキブンコ

ページの終わりです