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庭木や果樹の害虫となるカミキリムシの種類と対策

国内に800種以上いると言われるカミキリムシ。
ミヤマカミキリやルリボシカミキリなど昆虫ファンに人気のカミキリムシもいる一方で、庭木や街路樹、果樹の「害虫」として知られるカミキリムシもいます。
害虫となるカミキリムシの被害対策を種ごとにまとめました。

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カミキリムシってどんな虫?

カミキリムシは甲虫目カミキリムシ科の昆虫で、アゴは人の髪がよく切れるほど鋭いことからカミキリ(髪切り)と名付けられたと言われています。
長い触角がカミキリムシの特徴と思われがちですが、実は触覚が短い種もたくさんいます。

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カミキリムシの特徴は、その独特な生態にあります。
カミキリムシの幼虫は、木や枝の中で育ちます。弱った枯れ木に入る種もあれば、元気で健康な木に入る種もおり、木の中にトンネルを掘って進み、その木材や樹皮下の部位を食べて成長します。そのため、幼虫時代から鋭いアゴをもち、サクラなどとても硬い木を削れる種もいます。
この「幼虫が木の中で育つ」という生態が、樹木被害につながるというわけです。

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害虫となるカミキリムシ一覧〜種類とその防除方法

庭木や街路樹の害虫となるカミキリムシの種やその防除方法について解説します。

ゴマダラカミキリ

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ゴマダラカミキリは、体長2.5〜3.5センチメートルほどのカミキリムシです。カエデ、バラなどの庭木、ミカン、リンゴ、モモ、ナシ、スモモ、クリ、イチジクなどの果樹につく害虫として有名です。
幼虫は材部を、成虫は樹皮を食害するため、被害が進むと木が枯れたり、枝が折れたりする原因になります。樹勢も低下し収穫量に影響するため、果樹農家にとっては気をつけたい害虫のひとつです。

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最も重要な防除方法は、成虫を見つけ次第捕殺することです。
木の幹や枝に「フラス」と呼ばれる木くずを見かけたら要注意。フラスとは、幼虫が木の内部を食害した際に木くずが外へ排出されるもので、その木の中に幼虫がいる痕跡です。その場合は、木くずを払いフラスの穴を見つけ、その穴に針金や伸ばした針金ハンガーを差し込み、幼虫を直接駆除します。
ホームセンターなどで手に入る噴霧剤も幼虫に有効です。フラスの入口からなるべく奥に届くように噴霧すると、木の中の幼虫を駆除できます。ミカン畑など広域の場合、株元に生物薬剤を施用します。

ウスバカミキリ

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ウスバカミキリは体長3〜5センチメートルと大きなカミキリムシで、広葉樹、針葉樹ともに宿主とします。
ポプラなどの街路樹やヤナギ、クルミなどの公園の樹木、クリ、キリなどの庭木、イチジク、ナシ、リンゴなどの果樹、ヒノキ、モミなどの針葉樹の老木が被害を受けます。幼虫は枯れ木や腐朽部を食べますが、しだいに健全部も食害するため、本種が木に侵入することで腐朽部が広がって樹勢が落ちることが分かっています。
対策としては、ゴマダラカミキリと同じく、成虫の捕殺、薬剤スプレーが有効です。
それに加えて、枯れ木を放置せず撤去し、ウスバカミキリの産卵場所を作らない、生木に弱った箇所や枯れ枝が生じたら、早めに剪定するなどの管理も大切です。

キボシカミキリ

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キボシカミキリは1.5〜3センチメートルのカミキリムシで、幼虫がイチジク・クワなどのクワ科の樹木の内部を食害します。成虫もその葉や樹皮を食害します。
対策としては、昆虫病原性糸状菌を使った生物薬剤、化学合成農薬のモスピラン水溶剤、スミチオン乳剤(予防散布)などが有効です。

クワカミキリ

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クワカミキリは3〜4センチメートルのカミキリムシで、本州から九州にかけて生息します。
クワ、ミカン、イチジク、バラ、ビワ、ヤナギ、ケヤキ、ブナ、ニレ、クルミなど幅広い広葉樹に寄生し、被害を与えます。それ以外にも、幼虫による穿孔でケヤキ、ニレなどは材としての品質が低下してしまう被害も報告されています。
園芸用スプレーやスミチオン乳剤、スプラサイト系の有効成分を含む市販スプレーをフラス穴に注入して幼虫を駆除します。また、これら成分を含む薬剤を幹に散布して、それを食べる成虫を駆除できます。生物薬剤も有効です。

クビアカツヤカミキリ

クビアカツヤカミキリはウメ、モモ、カキ、スモモなどの果樹やサクラ、ヤマザクラなどの樹木を食害する外来種です。
東京、神奈川、大阪、愛知、埼玉などですでに被害が報告されています。特定外来生物なので、生きたまま運搬することは違法行為となり、見つけたら逃がさずに捕殺し、自治体や環境森林事務所に連絡します。

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害虫じゃない!かわいいカミキリムシたち

実は害虫として知られるカミキリムシはほんの一部で、多くのカミキリムシは人の暮らしに害を与えない存在です。
おまけで、虫ファンに根強い人気のカミキリムシをご紹介します。枯れ木や倒木を宿主とするので、庭木や生きた樹木を枯らす心配はありません。

スネケブカヒロコバネカミキリ

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短い翅や密に生えた毛など到底カミキリムシには見えない本種は、カミキリムシ愛好家の間で「ヒロコ」とか「ブラシ」の愛称で親しまれています。
ネムノキを宿主とし、ごく限定された地域にしか生息しません。この個体は山梨県で見つけました。

フタコブルリハナカミキリ

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はねが瑠璃色に輝く美しい種です。ミズキやヤマボウシが宿主ですが、山地でも標高が高い地域に生息するため、住宅の庭木に影響を与えることはまずありません。

ルリボシカミキリ

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マットな青紫色にアクセントカラーの黒がおしゃれなカミキリムシで、子どもたちに人気です。幼虫はブナ、ナラ、ケヤキ、クルミ、カエデなどの倒木に入ります。生木には入らないので、庭木や街路樹に被害が出ることはありません。

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(ナラの倒木に集まるルリボシカミキリ)




以上、「害虫となるカミキリムシ。その種類と庭木対策」でした。
庭木や果樹に被害を与える種がいる一方で、森林の天然更新に大事な役割も果たすカミキリムシ。その生態を知ることが、上手に庭木対策をする第一歩ですね!

written by ヒノキブンコ

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