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「Far Yeast Brewing (ファーイーストブルーイング)」(北都留郡小菅村)

人口700人の村から世界に発信するクラフトビール

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人口700人、村の面積の95%が森林という自然に囲まれた山梨県小菅村に、2017年「源流醸造所」というクラフトビールの醸造所ができたというニュースに驚いた方は多いと思います。スーパーやコンビニが1つもない日本の原風景が残る場所に醸造所を構えたのは、日本のクラフトビールを牽引してきた Far Yeast Brewing (ファーイーストブルーイング)株式会社です。" Democratizing Beer "‐「産業化によって画一的な大量生産品になってしまったビールの多様性と豊かさをもう一度取り戻す」という企業ミッションを掲げ、'20年には、東京・渋谷にあった本社機能を小菅村に移し、日本発の個性あふれるビールを世界に発信しています。

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Far Yeast Brewing の創業は'11年(旧社名・日本クラフトビール株式会社)。代表である山田司朗さんは、大手IT企業でキャリアを積んだ後、ケンブリッジ大学大学院に留学、ヨーロッパでの暮らしを通じてビールの歴史、文化、多様性に魅了されたことが設立のきっかけとなりました。社名にもなっている Far Yeast は、欧州から見た日本周辺地域を指す「Far East(極東)」と、ビールづくりに欠かせない「Yeast(酵母)」をかけています。日本というクラフトビールの世界では辺境の地から、世界を驚かせるビールづくりがしたいという思いが込められています。日本の現代文化の最先端の街である渋谷から、秘境の地ともいえる小菅村に本社を移転したのは自然な流れだったのかもしれません。

メイドイン山梨のビールづくり

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東京湾に注ぐ多摩川の源流域に位置する小菅村は、東京奥多摩町に隣接し、都心から車で約2時間の場所にあります。水が綺麗であることから古くからワサビが栽培され、ヤマメなどの川魚も多く生息しています。Far Yeast Brewing 源流醸造所でつくられるビールは、この多摩源流の綺麗な水を仕込みに使用し、ビールにハーブやスパイスなどを入れるベルギー発祥のベルジャンスタイルをベースに、日本や地域の特徴に合わせてユニークなビールになるようにつくっています。本社移転に伴い地域活性化の取り組みも積極的に行うようになりました。そのひとつが山梨県内で栽培された果物や野菜を原料に取り入れるなど、Made in Yamanashi シリーズを展開する「山梨応援プロジェクト」です。コロナ禍がきっかけでスタートしたプロジェクトですが、ビールを通じて山梨の魅力をもっと全国に知ってもらおうという趣旨で始まりました。

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3年前に第一弾としてつくったのは、⼭梨県⼭梨市の桃農家「ピーチ専科ヤマシタ」の桃をたっぷりと使用した「Far Yeast Peach Haze」です。外見に傷や痛みがあるなどの理由で⼀般市場では販売できない規格外の桃を活⽤しました。この商品は、販売開始前の先行予約段階で完売となる想定外の反響となり、桃を提供してくれた生産者にも大変喜ばれ、結果として地域経済への貢献となったそうです。現在 「 Far Yeast Peach Haze」は仕込み回数を増やし、'23年は、5月、6月、7月に販売を予定しています。毎年楽しみにされている方、今年こそは飲みたいという方は、Far Yeast Brewing の HP や SNS で告知されるとのことなのでチェックしてみてください。

地域貢献できる会社を目指して

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Far Yeast Brewing が新たなビールの可能性に挑戦するブランドとして'19年につくった 『Off Trail』は、ワインなどに使われた樽でビールを熟成させるバレルエイジの手法や、地域の特産品を使った個性的なビールを醸しています。 「東京に住んでいたときは、スーパーに並ぶ山梨県産と表記された果物に食べたいという感情だけで終わってしまいましたが、いざ生産地である地域に住んでみると、生産者の高齢化や、味は一般流通品と変わらないのに少しでも傷がついていたり、形が整っていないものはタダ同然で買い取られていたりと地域の課題が見えてきます。」と代表の山田さんは言います。

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小菅産の梅を使った 「Off Trail Ume-kin' Me Crazy! 」は、生産者の高齢化で収穫が難しくなった梅を源流醸造所スタッフが収穫を手伝い、獲れた梅を樽熟成したビールにブレンドしています。小菅村の村人とも地域行事などを通して交流が深まり、今では村全体で応援してくれているそうです。今後は、小菅村に新たに醸造所を造成する計画も進んでいます。試飲や見学もできるエリアを設け、村の観光拠点としての役割を担う多機能型工場となる予定です。 Far Yeast Brewing は小菅村に醸造所を構えて今年で6年目になります。代表の山田さん自身も地域への愛着が強く、「地域との連携を強化しながら、引き続き雇用や移住も促進していきます。」と話してくれました。

Article written by VALEM co., ltd.

Far Yeast Brewing 株式会社
山梨県北都留郡小菅村4341-1
※詳細は下記URLを参照してください。
https://faryeast.com/
Instagram :faryeastbrewing
Twitter :@faryeastbrewing

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