
horn(ホルン)~小さな港が甲府に誕生! カフェ&バー、グローサリー、宿泊機能を備える複合施設
かつて舞鶴城を中心に栄えた山梨県甲府市。
いま、個性が光る新しい店が少しずつ顔を出し、往時の面影と新しい風が混ざり合うまちに2025年秋、「海のない山梨に、小さな港をひらく」をコンセプトに掲げる 複合型施設「horn(ホルン)」が誕生します。
オーナーは、山梨出身の中込勇斗さんと妻のなつさん。
新しい芽吹きを感じるこの街で、二人はどんな思いを込めてこの場所を生み出したのでしょうか。
人やもの、文化が行き交う場所を目指して。
カフェ&バー、グローサリー、宿泊機能を備える複合型施設

JR甲府駅南口から歩いて8分。舞鶴城公園の東南の角に、築60年の個人商店をリノベーションした、1フロア30平米の3階建ての建物があります。複合型施設「horn」は、旅する人と暮らす人、外からの文化と地域の風土が交わる "まちのラウンジ" のような場所です。
2025年9月に先行オープンした1階には、世界各国の料理から着想を得て取り入れた料理やローカルドリンクを楽しめる「カフェ&バー」、県内の小規模でこだわったものづくりをしている生産者の商品をセレクトした「グローサリー(食料品物販)」があります。2階は、将来的に作家の展示などを行うギャラリーに。3階には、3つの個室を備えた「ホテル」があり、旅人が山梨をめぐる拠点として滞在できます。

取材で訪れた10月、まだ3階では改装工事の音が響く中、オーナー中込さんは静かに言葉を選びながら話してくれました。
「高校までを山梨で過ごした学生時代、新しい価値観や文化に触れる機会が少なくて、多くの地方がそうだと思いますが、どこか閉塞感を感じていました。大学進学を機に東京へ出て、デザインやブランド戦略の仕事に携わるようになってから、見た目の格好良さだけでなく、人が心地よく生活していける "場" をどうつくるか。そんなことをずっと考えてきました。いつかは地元・山梨に何かの形で貢献したいと思う中で、妻との出会いをきっかけに、海のないこの土地に、暮らす場所や立場を越えて人が集い、交わる "港" のような場所をつくりたい。その思いから生まれたのが、この拠点です。」
大事にしたのは "土着性" 。
昼はランチ、夜はお酒とアテを。ローカルなノンアルも充実

3年前、都内の飲食の会社で経験を積み、いつか宿泊業をやりたいと考えていた妻・なつさんと出会った中込さん。二人は複合施設の構想を描きはじめ、北欧を中心にさまざまな国や地域を巡りながら、現地の空気や暮らしの営みをヒントに、少しずつその輪郭を定めていったといいます。
「決して洗練させているわけではないけれど、オーナーがやっていないと出せないような雰囲気のお店をいくつも見てきました。甲府は都市的な機能を持ちながらも、自然とのつながりがゆるやかに続いている場所。私たちも、土地に根ざした "土着性" を空間づくりに活かしつつ、天然素材の質感や温かみ、開放感を大切にしました」と中込さんは語ります。

「horn」を訪れると、元々の無機質なコンクリートの天井や床を活かしつつ、温かみのある木製家具や自然素材が散りばめられた空間に、思わず深く息をつきたくなる居心地の良さを感じます。
1階のカフェ&バーは、中国茶やハーブティーとあんこチーズケーキやプーアルパンナコッタなどのデザートを楽しむことができます。10月からはランチ営業も始まり、「台湾まぜ麺」や「季節の野菜とグリルチキン、パンのサラダ」を提供。夜は山梨ワインや全国から集めたクラフトドリンクと世界各国から着想を得た食欲をそそる料理を用意しており、お酒を飲む人と飲まない人が同じように楽しめる空間となっています。

"土着性" は、店のあらゆる空間に息づいています。1Fカフェ&バーの机やカウンターは、地元の材木屋さんの木材を使い、県内で活動する家具職人に制作を依頼。お皿は、熊本の器作家、北川麦彦さんの自然の釉薬を使った一点もの。3F宿泊部分の寝具は、富士吉田の寝装具ブランド「sinso」、カーテンは「Watanabe Textile」に制作を依頼。ひとつひとつに丁寧に向き合ったモノが置かれています。
「すべての人やモノには個性があっていい。手間がかかっても、それが愛おしく、尊く、美しいと感じられます。ただ泊まるだけではなく、自然や人の営みを感じる心地いい暮らしに触れてほしい」と中込さん。訪れる人も、そんな空間やモノに触れることで、自然に心がほどけるような心地よさを体感できます。
外からのカルチャーと地域をつなぐ役割を

近年、甲府ではUターンや移住者による個性豊かな店が少しずつ増えています。中込さん夫妻も、そんな「ご近所さん」との出会いがあったからこそ、地元に戻り宿を開く決意ができたといいます。
「山梨を離れて10数年。土地勘はあっても、ほとんど地域とのつながりがない中で、つながりができたことはとても心強かったです。「horn」は宿である以上、『まちの案内所』のように、街や暮らす人々のことを自分たちなりの視点で紹介することも大切な役割だと思っています。外から来た人にも、『ここは良いところだよ』と伝えたいですし、県内のものだけでなく、外からのカルチャーを受け入れ、伝えることも私たちの役目です。最近は甲府でも、個人で面白いことをやる人が増えています。私たちのように甲府で何かを始めたいと思った人がいたときに、その人たちと地域を繋ぐ役割を担えたらと思っています。」

窓の外に広がる緑と石垣を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごす。これから「horn」が甲府のまちにどのように溶け込み、交わっていくのか。小さな港のように、旅人も街の人も自然に行き交い、心地よくつながる場所です。
Article written by VALEM co., ltd.
horn
山梨県甲府市中央2丁目5−20
※詳細は下記URLを参照してください。
https://horn-kofu.com/
Instagram : horn_kofu
