
簡単に始められるウォーキング!運動の効果とは?
前回のコラム「健康寿命を延ばそう!~健康寿命とは?おすすめの健康法をご紹介」では健康寿命の考え方と健康増進効果の高い「ラン(run)」を取り上げました。その後、皆さんは何か継続的な健康増進活動に取り組まれていますか?
「いや~、毎日だるくて・・・」、「忙しくて、なかなか、ねぇ・・・」あるいは「走るのは苦手」という皆さんへ、今回は誰もが気軽に始められる「ウォーク(walk)」についてとりあげます。
身体的負担も少なく継続しやすいので、運動は苦手という皆さんも、まずは歩くこと、歩く距離を伸ばしてみることから始めてみませんか?
- 目 次
- 1.健康寿命を延ばすために心掛けたいこと
- 2.なぜ運動に着目するか
- 3.気軽に始められる「ウォーク」-全ての運動の原点-
- 4.ちょい足しで歩く、「ひとつ先の○○まで歩く」
- 5.アップダウンで筋力と消費エネルギーアップ!
- 6.休日や仕事帰りのウォーキング
- 7.モチベーションを高める「ごほうび」
健康寿命を延ばすために心掛けたいこと
本題に入る前に、健康寿命の延伸に寄与すると言われるものは様々な学術書や媒体でまとめられていますが、おおむね以下のものが共通して挙げられています。
・食事(栄養バランスを考える、適量を考える)
・運動、身体活動(適度に体を動かす)
・飲酒や喫煙を極力控える
・休養、睡眠を程よく確保する、ストレスを溜めない
・定期的に健康診断を受ける(健康管理)
・社会参加する
生活習慣に関わるものがほとんどなので、日頃からの心がけ、行動が大切と言えます。
しかし、健康増進に取組むこと自体がストレスや、身体的な負担となっては意味がありません。
なぜ運動に着目するか
食事と健康の関連性が強いことを多くの方がご存じかと思いますが、食べることはとても楽しいですし、美味しいものを食すことで得られる精神的な満足度、幸福度を挙げられる方も多いかと思います。これを制限するのはものすごくストレスになりませんか?
食べることにあまり制限を設けずに健康増進に取組もうとすると、やはり行きつくところは「運動」、身体活動の増進になるわけです。
「エネルギー摂取量」と「エネルギー消費量」のバランスが崩れると体重や体格の変化が起こります。摂取量は食事の質や量で決まります。一方、消費量は基礎代謝と身体活動(運動)によって変動します。基礎代謝は、年齢、性別、筋肉量や体格によって変わります。加齢とともに「太ったな~」と感じる方が多いのは基礎代謝量の低下と運動習慣の低下による場合が多いと言われます。摂取した(しすぎた)エネルギーを消費し、基礎代謝を上げるためにも運動が非常に有効だということです。
表1 年齢と基礎代謝
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)
気軽に始められる「ウォーク」-全ての運動の原点-
運動することは、摂取した(しすぎた)エネルギーを消費し、身体能力・体力を維持向上させるとともに、体の健康を保ちながら、清々しさや楽しさを味わい、時にはストレスも解消できるうえ、仲間ができることで社会参加や交流にもつながります。
達成感を味わえれば、取組むことに対する意欲や取組む強度がより一層増す場合もあります。この好循環をうまく作り出したいものですね。
一般的に「健康の維持増進のために運動する」場合、「思い立って」、「努力して」、「継続して」、「習慣化する」という言葉を並べるとハードルが高く感じられるかもしれません。ところが、「歩く」ことに関しては日常の基本的動作であると同時に身体的・精神的な負荷も小さく、気軽に始められ、継続もしやすいかと思います。歩くことから始めて段々と運動量や負荷を上げていけば、長続きするのではないでしょうか?
また、「ウォーキング」というと歩くことが目的かのように思われがちですが、日常生活において「移動」する場面はたくさんあり、その移動手段を「歩く」ことにすれば簡単に感じられます。いきなり長い距離を歩くよりは、少しずつ伸ばしていくことをお勧めします。
では、何歩以上歩くのが健康にプラスとなるのか?前回コラムにてご紹介した厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」によると、成人男性の目安は8,000歩/日だそうです。
「身体活動・運動に関する推奨事項」(成人の場合)
出典:厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会
『健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023』(令和6年1月)
ここでは「60分以上」、「8,000歩以上」が目安になっていますが、気になるのは「歩くのにかかる時間」ではないしょうか?
私の場合、勤務先の保険会社の健康増進型保険商品発売を機に7年ほどスマートウォッチを愛用しており、その計測データによるとだいたい10分間で約1,000歩、約1時間20分で8,000歩に到達しています。歩く速さは約4.5km/h、 1km進むのに約13分かかる計算になります。自分の歩く速度や歩幅を知り、「移動を徒歩に置き換えるとどれくらいの時間がかかるか」がわかれば、通勤・通学の際にとどまらず、仕事上の移動の際や休憩時間などにもウォーキングを採り入れやすくなります。
ちょい足しで歩く、「ひとつ先の○○まで歩く」
ふだんあまり歩かない人にとって、一番簡単に取り組めるのは徐々に日常の移動手段を徒歩に置き換えることです。
都会にお住まいかお勤めの方であれば公共交通機関で移動する方は多いと思いますが、「最寄り」ではなくひとつ遠くの駅やバス停まで歩き、目的地最寄りの駅やバス停のひとつ手前で降りて歩けば歩数を稼ぐことができます。慣れてきたら、これを二区間分、三区間分、あるいは全行程という具合に伸ばしてゆけばよいです。生活のリズムを少しずつ変えてゆけば負担は軽いかと思います。
通勤や通学の場合は所要時間が気になりますが、一般的な地図アプリや交通機関の運行情報を提供するアプリなどを使うと良いです。下の画像は、私が住む山梨県甲府市北西部から甲府駅まで向かう山梨交通バスの運行情報です(*1)。バス停に掲示されているQRコードを読み込むことでそこを通るバスの運行情報がリアルタイムで表示されます。「まだ来ないなぁ」と思ったら次のバス停まで歩く。最寄りのバス停で手持ち無沙汰にバスの到着を待つよりも幾分かはエネルギー消費が可能です。スキマ時間で稼げる運動量は限られていますが、歩くきっかけづくり、少しでも多く歩こうとする習慣づくりには役に立ちます。
*1:一般社団法人山梨県バス協会運営「やまなしバスコンシェルジュ Powered byバスキタ!」
アップダウンで筋力と消費エネルギーアップ!
ウォーキングはあらゆる身体活動のベースになりますが、負荷や消費カロリーは少なく、筋力トレーニングにもなりません。体重などにもよりますが、1km(1,300歩)歩いて消費されるエネルギーは30~50kCal程度、1歩当たり約0.02~0.04kCalの消費にしかなりません。
そこで、歩道橋、坂道、駅やビルの階段などを織り交ぜることで、消費エネルギーが増え、筋力アップも期待できるほか、心拍数を上げ、脂肪燃焼促進、血液循環改善による心臓や血管の健康維持、持久力向上にもつながり、より高負荷な運動をするための下地作りになります。一般的な公共施設の階段一段当たり0.1kCalのエネルギー消費になりますから、ふつうに歩くより1歩あたり2.5倍から5倍程度のエネルギー消費になります。ちなみに、「階段を一段上がるごとに寿命が○秒伸びる」なんていう「学説」もあるそうです。面倒くさがらずに階段を楽しみましょう!
甲府市内の歩道橋
休日や仕事帰りのウォーキング
歩くことに慣れてきたら、休日などにもウォーキングを採り入れたくなります。休日ですから、時間も距離も長めのウォーキングにチャレンジできるでしょうし、通勤途上やお仕事中の歩行と違い、歩く目的に「楽しみ」を加えたり、歩く距離や歩数などの「目標」を設けることもできるので、取組み方も変わってくるでしょう。また、連続した有酸素運動によりエネルギー消費も増やすことができます。休日ですから、スピードを上げて本腰を入れるも良し、リラックスしてのんびり散歩するのも良しです!
モチベーションを高める「ごほうび」
歩くことで見えてくる景色や意識するものが変わってきます。これまでバスや電車、自家用車などで通り過ぎていた場所に「こんなお店があったんだ!」といった具合でついつい飲食店や商業施設に寄り道したくなったり、公園や自然豊かな緑地や川辺など身も心も癒し清められる場所を見つけたりするなど、新たな発見があるかもしれません。
実は、この「楽しみ」あるいは「ごほうび」は運動継続のための大事な要素となります。
「ごほうび」、「リワード=報酬」、「インセンティブ=報奨、動機(づけ)」は、人によっては小刻みな間隔で小さな喜びがいくつもあるほうが盛り上がる場合と、最後に大きな満足感が得られるほうが張り合いが出るという場合の両方があるかと思います。運動を継続的に行おうとする強い内的動機がないうちは、外的動機があったほうが取組みの継続性を保ちやすいです。ビギナーの皆さんには、身体活動、健康増進活動を続けるための「ごほうび」は必須と言えます。たとえ、それが食べ物だとしても、それを目指して運動する習慣が定着するのであれば、それはそれで良いのではないでしょうか。
運動習慣が定着していない方は、まずは「お気楽」な気持ちで始められる、「ちょっとした運動」から取り組まれるのが良いです。歩くことは、用事を済ませるためにも役立つでしょうし、新たな楽しみを発見することにもつながるでしょう。
次回は、自然を満喫できる「山歩き、山登り」についてご紹介します!
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