ページ内を移動するためのリンクです

まっすぐに音色を届ける。シンガーソングライター池田綾子さん Vol.2(Singer-songwriter Ayako Ikeda)


ayako_03.jpg

Vol.1はこちらから

いちばん幸せな時間を描いた「巡りゆく日々」

―池田さんの山梨中央銀行のCMに起用された楽曲「巡りゆく日々」の歌詞を読んだんですけど、すごく情景を思い浮かべたり、色を連想するワードが散りばめられている。なのでご自身が生活していくなかで見てきた景色や色が池田さんの楽曲に反映されているのかなと感じたんですが。

池田:この「巡りゆく日々」っていう曲は、大仰かもしれませんが"日常という名の奇跡"っていうことをテーマに書いているんですね。毎日繰り返していて気づかないんですけど、当たり前のことってなんて幸せなんだろうっていうことに着目して作っていきました。わたしの子供はまだ小さいんですけど、手を繋いで歩いてる。1日バタバタで、今日もそうなんですけど仕事の前後に送り迎えをして。髪を振りみだしてあわただしく巡っている日々が、いつか振り返ったときにいちばん幸せなんじゃないかなと。ふと夕暮れどきに手を繋いで子供と歩いているときに思ったんです。その尊さを歌にしたいなって。

―まさに生活ですね。

池田:そうなんです。今回は山梨中央銀行のCMソングということで、銀行っていうのは企業活動から、ひとりひとりの生活まで見つめて支えているものですよね。なので仕事終わりに銀行のATMに寄って、子供と買い物しながら夕飯の材料を買って帰り道をいく。そんな普遍的な日常の繰り返しを歌にしています。毎日陽はのぼって暮れていく。夕暮れどきにお家に光が灯っていって、その数だけそれぞれの生活があって、幸せがあって街中に広がっていく。当たり前にあることこそ、かけがえない日々っていうのを見つめているんです。それを支えている存在のひとつに山梨中央銀行さんがあるっていうのをコンセプトにしています。

―「巡りゆく日々」の歌詞を見ながら曲を聴いていたんですけど、ノスタルジックな気持ちになりました。懐かしいというか。子供のころに友達と遊んで、夕暮れどきに家に帰る景色。思い返してみると、その頃ってすごく幸せだったんじゃないかと思います。今おっしゃっていただいたコンセプトや、山梨中央銀行さんの方からこういう楽曲を作ってほしいというようなイメージは依頼された時点ですでにあったんでしょうか。

池田:そうですね。断片的なキーワードとしていくつかいただいていました。「あたたかさ」とか「寄り添う」、「家族」、「ぬくもり」という言葉から広げていって作っていきました。

「自分のなかでさまよっていたことが、実は誰かの心につながっていた」

―それが「巡りゆく日々」としてかたちになったんですね。お話をうかがっていて、すごく自然体で生活や日常を大切にされている印象を受けたのですが、池田さんが今後歌手として目指すモノはどんなものでしょうか?

池田:自分の気持ちを知るって、実はすごく難しいことで。わたしにとって音楽は幼い頃から自分の気持ちを知るための方法だったんです。歌ったり作ったりすることで今自分はこういうこと考えているんだなということに気が付いたり、自分が今見えていない、ちょっと先の未来が音楽になって出てきたりして。それで、自分はこういう風に進んでいきたいんだなって、音楽に教えてもらうかたちで今までやってきたんですね。自分のなかをさまよいながら答えを見つけていく作業。そうやって自分と向き合っていくうちに、あるとき自分の中から外に向かって突き抜けていく瞬間がある。そのとき、自分のなかでさまよっていたことが、実は誰かの心につながっていたというのがわたしにとっての音楽なんです。なので、これからも自分がこうやってプロとして歌を人々に届けていくことは続けて行くんですけど、その意味を大事にしていきたいなと思っています。

―創作って絶対的に自分と向き合わなければならないじゃないですか。音楽や他の表現でも同様に、突き詰めると今自分が何を考えて、何をしたいのかという確認作業。それって結構苦しかったりするんですけど、内包していたものを外に出してかたちにしたとき、それが人に伝わったときはすごく嬉しいですよね。

池田:ただ、そこで誰かのためにとか何かを成し遂げようとか自分から離れていっちゃうと、ちょっと背伸びしている自分になってしまう。なので自分を通過していくものっていうのを大事にしたいです。

―自分を経てから、誰かっていう順番は大切だと思います。

ayako_05.jpg

「持って生まれた身体から出る音色を届けたい」

池田:自分の心が誰かの心につながったらそれはとても幸せなことで。誰かに届けることが前提ではなく"一筋の希望"みたいなものなのだということを忘れずにやっていきたいです。

―今後、ラジオなどのメディア、自身の作品を通して伝えていきたいことはありますか?

池田:それが人にとっては不器用に映ることもあるかもしれないんですけど、自分が突き抜けてやっていけることは、真っ直ぐに向かうことだと思っています。それが正しいかどうかというのは人生を振り返ってみないと分からないことなんですけど、自分の信じる道というのを真っ直ぐに進むこと、歌を真っ直ぐに届けること。自分の歌声に色を付けたり、誰かになろうとすることなく、持って生まれた身体から出る音色を届けていけたらいいなと思っています。


 ラジオ収録前のわずかな時間だったが、池田綾子さんは丁寧に、自分自身の言葉で質問に答えてくれた。自然体で、等身大。そこには必要以上に着飾ることも、誇張をすることもないありのままの心が映し出されていた。池田綾子さんは音楽を通して聴いていた通りの人だった。
 家族とのかけがえのない時間。当たり前という奇跡。普遍的な日常の一幕を映し出し、歌詞を紡いだ「巡りゆく日々」をぜひ聴いてみてほしい。


【巡りゆく日々】

穏やかな顔の毎日が
今日も走るように過ぎて行く

オレンジに染まる長い影
君が 指差した 宵の星

はしゃぐ声 交差点の青

ありふれた話しをしながら
窓に灯をともす

君と今 重ねあう 手探りで進むこの日々を
喜びも悲しみも 抱きしめて この瞬間を見つめながら

夕暮れの風は 切なくて
懐かしい匂いを運んでる

あの日から今日の道のりを
いつか君にそっと伝えたい

「大丈夫 ほらね 大丈夫」
幼い日 母がしたように その手を握った

君と今 重ね合う 手探りで進むこの日々を
喜びも悲しみも 二度とない この瞬間を見つめながら

何気なく側にいて またひとつ季節を巡って
いつの日か知るのだろう この日々の本当の意味を

君と今 重ね合う 手探りで進むこの日々を
いつか振り返るまで 大切な その笑顔を見つめながら

Article written by VALEM co., ltd.

山梨中央銀行ライフスクエアについてはこちら

ayako_02.jpg

池田綾子

東京都出身。武蔵野音楽大学音楽学部声楽科卒業。
2002年から音楽活動を開始。日本語の「韻」を大切にした歌詞と旋律、クラシックの発声を基調とした独自の歌声を持つシンガーソングライター。心の音を紡ぐような音楽世界と、透き通る声の音色は、ジャンルを超えて数々のコラボレーションを生み続けている。今までに数多くのTV、CM、映画などの主題歌や、出会いの中でアーティストへの楽曲提供も行っている。
また、世界遺産屋久島の森の中で2000本のキャンドルを灯す幻想的な音楽祭「やくしま森祭り」の立ち上げ、小学校の教科書に合唱曲掲載、小児病棟コンサートや、光の切り絵作家との「音と光り絵コンサート」など、音楽の中に響き合う心を繋いで、活動の輪が広がっている。
今までに6枚のアルバム10枚のシングルを発表。数々の音楽作品にも参加している。 (オフィシャルプロフィールより抜粋)

FM FUJI 〈FM83.0/FM76.3〉「Seed of LIFE」毎週日曜日 18:00~18:30

※詳細は下記リンクを参照してください。
池田綾子 オフィシャルウェブサイト
http://www.ikedaayako.com/index.html
FM FUJI
http://www.fmfuji.co.jp/

ページの終わりです