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【初心者向け&ファン向け】『ヴァンフォーレ甲府』担当者へインタビュー。やまなしの地域密着なクラブチーム。


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ヴァンフォーレ甲府

ヴァンフォーレ甲府のチケットあるから、観に行かない?

サッカーファン

サッカー詳しくないけど・・・

ヴァンフォーレ甲府

スタジアムではいろんなイベントをやってるし、企画ブースもあって、試合前からすごく楽しいんだよ。

サッカーファン

私、行きたいかも!




山梨県をホームタウンとするJリーグサッカーチーム『ヴァンフォーレ甲府』。ファンでない人にも分かりやすくクラブチームのことをご紹介します。今回はヴァンフォーレ甲府の担当者へ直接インタビュー。ヴァンフォーレ甲府の生い立ちやクラブのサポーターやスポンサーの特徴、最近の大卒ルーキーのスカウティングのお話などをお聞きしました。

高原幸次さん(株式会社ヴァンフォーレ取締役 事業本部長)。クラブ草創期から組織運営や試合に携わってきた大ベテラン。ヴァンフォーレ甲府の昔と今を知っているスタッフ。
40代男性、『ふじのーと』ライター。山梨県北杜市在住。サッカーはときどきテレビで見る程度。地方都市にクラブチームがある意義を知りたい。





ヴァンフォーレ甲府とは。名前の由来について

----高原さん、今日はよろしくお願いします。ヴァンフォーレ甲府の歴史や生い立ちを教えていただけますか?

高原さん:よろしくお願いします。ヴァンフォーレ甲府は、山梨県唯一のプロサッカーチームとして、Jリーグに加盟しています。

ヴァンフォーレ甲府の前身は、甲府一高OBによる社会人サッカークラブ(鶴城クラブ)に県内他校出身者が加わって結成された甲府サッカークラブです。その後、1972年に発足した日本サッカーリーグ(JSL2部)に参加し、1995年に名前を「ヴァンフォーレ甲府」と改称しました。

J1・J2入れ替え戦で勝利して、2006年に初めてJ1に昇格して以来、これまで8年、J1に在籍しました。

クラブの歴史は50年以上あります。おそらくヴァンフォーレ甲府の歴史の古さはJリーグの中で10位前後になります。

----まさに地元のサッカー愛好者の集まりから始まった、まちクラブと言えそうですね。ところで、ヴァンフォーレ甲府の名前の由来はどういったものでしょうか?

ヴァンフォーレ(VENTFORET)は、武田信玄の旗印「風林火山」に因んで「Vent(風)」と「Foret(林)」(フランス語)を合わせた造語です。一般公募で決まりました。

ヴァンフォーレ甲府のスポンサー数は全国トップクラス

ヴァンフォーレ甲府はいわゆる『母体企業があるクラブチーム』(=赤字補填など含め企業のバックアップがあるチーム)ではなく、地元企業や団体、自治体や個人などの支援で成り立つクラブチームです。限られた予算の中で2006年に初めてJ1に昇格し、それからの16年間で半分をJ1で過ごすなど、Jリーグの中で大いに健闘しているチームと言えます。

スポンサー数は『250社』(2021年8月時点)。これは全国トップクラスとのこと。多様な企業、団体、個人がヴァンフォーレ甲府を支えています。

ヴァンフォーレ甲府のピッチ広告
ヴァンフォーレ甲府のピッチ広告(提供:(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ)

----ヴァンフォーレ甲府のスポンサーの特徴などを教えてください。

高原さん:ヴァンフォーレ甲府のスポンサー数は全国のJリーグクラブの中でもトップクラスの多さだと思います。

これは、当クラブとしても様々な形で積極的に働きかけをさせていただいたこともありますが、もともと山梨は、若年層から年配者まで広い年齢層でサッカーファンが多いことが関係していると思います。韮崎高校の活躍や甲府サッカークラブ時代など、昔からサッカーに親しみやすい土壌が山梨にはあって、いわゆるオールドファン、昔ながらのサッカー好きが多いのが山梨の特徴です。そういった背景から、ヴァンフォーレ甲府も『地域のまちクラブ』という雰囲気が今も強いです。


※韮崎高校は全国高校サッカー選手権大会で「5年連続ベスト4以上」の偉業を成し遂げ、高校サッカーの歴史に名を刻んだ。

----山梨のサッカーファンの年齢層が広いことに韮崎高校の影響は大きいのですか?

高原さん:何かの統計を取ったわけではないのですが、韮崎高校の影響は間違いなくあると思います。韮崎高校の時から応援してるとか、甲府サッカークラブの時からファンだとかいう声を多く聞きます。そのためか、ヴァンフォーレ甲府のファンには親子連れや3世代、またシニアの方が多いですね。

浦和レッズやFC東京など全国的に人気のあるチームは、若い世代のファンが多かったりします。ヴァンフォーレ甲府は、おじいちゃん、おばあちゃんでも選手名に詳しいとも言われます。

あとは、やはり『昇格』ですね。2005年の入れ替え戦に勝ってJ1に昇格した時から、応援するようになったという方が多いです。当時は歓声でスタジアムが揺れたと感じる時が何度もありました。そのときからのファンも多いです。

ヴァンフォーレ甲府の「リーグ戦戦績」
ヴァンフォーレ甲府の「リーグ戦戦績」(提供:(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ)
Jリーグスタジアム観戦者の平均年齢、甲府は48.7歳と年齢の高さで全国1位。全国平均は42.8歳。やはり、ヴァンフォーレ甲府が幅広い年齢層に支持されているのは確かなようです(Jリーグ スタジアム観戦者調査2019 サマリーレポートによる)

選手獲得について

----選手獲得や育成について、差し支えない範囲で教えていただけますか?

高原さん:大まかな当クラブの取り組みについてご説明します。昔は入団テストなどで選手を獲得していましたが、佐久間GM(現代表取締役社長)が就任してからはスカウティングに力を入れています。専属のスカウティング担当者を新たに設けて、長期的なビジョンで大学生の選手を積極的に採用してきました。その成果が実り始め、若手の選手が活躍してくれています。

----今シーズンも若手が活躍していますね?

高原さん:そうですね。関口正大選手、長谷川元希選手は法政大学出身で、大卒ルーキーとしてそのまま活躍してくれていますね。その他にも荒木翔選手や中村亮太朗選手なども大学新卒で活躍しています。怪我で出遅れましたが、山梨県中央市出身の須貝英大選手(明治大学出身)はこれから注目です。

※法政大学・・・関東1部リーグに所属する強豪大学。
※明治大学・・・関東1部リーグで優勝5回の強豪大学。史上初、学生タイトル全五冠制覇を達成。

新型コロナウイルスの影響について

----長い年月をかけてチームを作りあげてきたことがよく分かりました。現在、新型コロナウイルスがいろいろな業種を直撃していますが、ヴァンフォーレ甲府への影響、スタジアムへの影響を教えてください。

高原さん:スタジアムは人が集まる場所という性質上、新型コロナウイルスはクラブ経営を直撃しています。スポンサーや入場者数の減少などで、クラブ経営に甚大な影響が及んでいます。しかし、サポーターの方にはとても支えていただいております。

昨年、新型コロナウイルスの影響により試合で観客を呼べずシーズンシート会員の返金が全国的に行われていた時、多くのサポーターの方に『返金は不要』と申し出ていただきました。具体的には、第一節を終えて新型コロナウイルスで4ヶ月間中断となり6月から再開しましたが、試合日程が大幅に変更され、水曜日の試合も増えました。土日であれば試合に行けるけど水曜日は仕事だから行けないという方も多く出てくる中で、ご購入され本来返金のところを全額寄付しますとか、試合にいけない分は寄付します、というご支援が相次ぎました。

実際、全額寄付が7割くらいになったと思います。この割合はJリーグの中でトップクラスのようでした。みなさんも苦しい中で、それだけクラブのことを想っていただいたということです。とても感謝しています。

県内外問わず、海外で事業されている方もスポンサーになっていただいたり、個人の方からもご寄付をいただきました。改めて、サポーターの方あってのクラブ、スポンサーに支えられて存続しているクラブ、ということを痛感しました。我々もチームの活躍、地域貢献、社会還元を通じ、ここ山梨の皆さんとの関係を大切にしていこうと、決意を新たにしました。

Jリーグ スタジアム観戦者調査2019 サマリーレポートによると、サポーターがスタジアムを観戦する動機やきっかけとして「応援しているクラブの地域貢献」と答えた人がJリーグ全クラブ中でヴァンフォーレ甲府は2位でした。サポーターがヴァンフォーレ甲府を応援する動機はいろいろでしょうが、『クラブが地域に貢献してくれてるから』と感じている割合がJリーグクラブの中でトップレベルということになります。

Jリーグで初めてSDGsを宣言

2021年4月30日、ヴァンフォーレ甲府は全国のJリーグクラブの中で初めてSDGsを宣言しました(公式ページはこちら

ヴァンフォーレ甲府のSDGs
ヴァンフォーレ甲府のSDGs宣言の様子(提供:(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ)

----コロナ禍でのサポーターの支えなどの背景もあってと思いますが、先日『ヴァンフォーレ甲府がJリーグで初めてSDGsを宣言』というニュースを見ました。その経緯や取り組みなどを教えて下さい。

高原さん : すでに複数のJリーグクラブがSDGsに取り組んでいますが、クラブとして重点ターゲットを定めて「SDGsに取り組む」と公式宣言したのはヴァンフォーレ甲府がはじめてです。

お話しをしてきましたように、このクラブチームは地域に根差し、県内の企業さまや団体さま、また多くの県民の皆さまに長年支えられてきました。その恩返しとして、地元でサッカー教室や選手との交流会、またリユース食器などを使ったエコ活動なども積極的に行ってきました。国際交流では、おもにASEAN諸国でのサッカー教室や交流試合、指導者交流を行ってきました。

こうしたこれまでの取組みやノウハウを深化させる形でSDGsに活かせるのではないかという考えで、今回この宣言をさせていただきました。「持続可能な社会づくり」を目標とするSDGsの取り組みの中で『環境』『健康』『教育』『国際交流』を中心に取り組んでいきます。

すでに県内の多くの企業さまがSDGsを進めている中で、ヴァンフォーレ甲府をハブとして賛同してくれる企業さまと連携し、持続可能な社会づくりに向けて活動を進めていきたいと思います。


※SDGs: Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略。2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すために、国連で採択された目標のこと。

県民にスタジアムに足を運んでもらう工夫について

----県民にスタジアムに足を運んでもらうためにされている工夫などを教えてください。

高原さん:ヴァンフォーレ甲府では、スタジアムに早く来ていろいろなイベントやグルメ、マスコットのダンスやグッズ販売、ゲームを楽しんでもらうようにしています。試合前からワクワクが始まってます。

今日家族でどこか行こうかな、じゃあスタジアムに遊びに行こうか、という感じで、レジャーの一つとしてシニア、子供連れなど幅広い年齢層の方が楽しめる場であればいいと思っています。どちらかというと遊園地に行く感覚でしょうか。

まだ来たことがない方は是非、一度気軽に試合を見に来ていただきたいですね。

ヴァンフォーレ甲府の試合
オフィシャルグッズ販売の様子(提供:(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ)



ヴァンフォーレ甲府のイベント
試合前のイベントの様子(提供:(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ)



ヴァンフォーレ甲府の試合
試合の様子(提供:(株)ヴァンフォーレ山梨スポーツクラブ)

ユニフォーム、グッズについて

ユニフォーム、グッズの販売はヴァンフォーレ甲府の収入源の一つ。サポーターはどのようにグッズを購入しているのでしょうか。

----ユニフォームは新しいものが毎年でますが、毎年買い換えるファンもいると聞きました。

高原さん:そうですね。本当に多くのサポーターに様々なグッズをご購入いただいております。ユニフォームやタオルマフラーなどの新商品が出ると、すべてご購入されるサポーターもいらっしゃるほどです。チームへ貢献したいという気持ちとコレクターとしての気持ち、両方あるかと思います。クラブが好きで、甲府が好きで、という方が多いのだと思います。また、クラブマスコットの『ヴァンくん』と『フォーレちゃん』は今年誕生15周年を迎え、多くのサポーターに愛され続けています。これからも変わらず、かわいがっていただけたらと思います。

ヴァンフォーレ甲府のmascot
ヴァンフォーレ甲府のマスコット『ヴァンくん』と『フォーレちゃん』

JIMOCAカード(クレジットカード一体型キャッシュカード)にもヴァンフォーレのロゴが入っていてオシャレ。

JiMOCA VFK

ユニフォームスポンサーの山梨中央銀行が提携するキャッシュレス決済サービス「&Pay」。お店でこの決済を使うと、1決済10円をヴァンフォーレ甲府に寄付できます。また、JiMOCAカードでもヴァンフォーレ甲府に寄付できます。
&Payについて(山梨中央銀行)
キャッシュレス決済サービス「&Pay」ヴァンフォーレ甲府応援キャンペーン
(JiMOCA)カードを使ってヴァンフォーレ甲府を応援しよう!!!

----高原さん、本日はありがとうございました。

以上、『ヴァンフォーレ甲府』担当者へのインタビューでした。

何かと生活に身近なサッカー。ビジネスシーンでもサッカー用語はたとえ話としてよく使われます。それは、相手ゴールにボールを入れれば勝ちというシンプルなルールでありながら、勝つためにはチーム力や団結力が求められるゆえ、夢や目標に向かうシーンで参考にしやすいのでしょうか。サッカーを身近に置くことは、自身のゴールへと前進するヒントを得ることかもしれませんね。




取材・執筆: ヒノキブンコ

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