
コストコと新規取引加速 南ア店の進出契機に県内企業 国内外へ販路拡大期待
南アルプス市寺部に米国系会員制スーパー「コストコホールセール南アルプス倉庫店」が進出したことを契機に、県内企業がコストコと新規に取引を始めたり、取引商品を増やしたりするケースが出ている。各企業はコストコが日本国内や世界各地で展開する店舗への販路拡大などを期待していて、「売り上げを伸ばす大きなチャンス」とする。
太冠酒造(南アルプス市上宮地、大沢慶暢社長)は南アルプス倉庫店の開店に合わせ、太冠特別純米酒720ミリリットルを納品した。今後は別の日本酒も納品する予定。コストコ側からは近隣都県の店舗での取り扱いも検討していることを伝えられた。
1月、南アルプス市で行われた説明会への参加をきっかけに商談を進め、契約が成立。大沢社長はコストコ側から「米国の担当者が同社の日本酒に興味を示している」と打診を受けたことを明かし、「コストコのネットワークで世界に広がるなら大きなチャンス」と期待をかける。
焼き肉のたれの製造販売を手がける味研(山梨市西、向山佳範社長)も取引をスタート。コストコ側の要請に合わせて、従来品の3倍の容量の「無添加焼き肉のたれ」を作った。取引開始に先立ち、食品の衛生基準などを米国式に合わせるよう要請を受け、工場内の衛生管理の手法をすべて再確認した。
向山社長は「コストコ用のサイズは業務用。家庭用中心だった自社にとって業務用の販路拡大の機会と捉え、コストコの要求にはしっかり取り組んだ」と話した。
2016年からコストコと取引していた穀物食品製造のはくばく(中央市西花輪、長沢重俊社長)は南アルプス倉庫店のオープンを機に取扱品目が拡大。これまで販売していた「もち麦」、「鴨出汁せいろそば」に、「あばれほうとう」と「南アルプスそうめん」も加わった。
同社によると、コストコ側との協議で、ほうとうとそうめんは個数限定で販売が決まった。売れ行きが好調なら、もち麦などと合わせてコストコ側が再入荷や全国展開なども検討するという。担当者は「コストコの販売網はとても大きい。全国販売へと広がってほしい」と述べた。

