
富士山5合目の外来植物対策 車両付着の種子調査開始 県、9月まで実態把握へ
県は22日、富士吉田市の県富士山科学研究所で、富士山有料道路(富士スバルライン)周辺を訪れた車を対象にした、タイヤなどへの植物の種子の付着に関する実態把握に向けた調査を始めた。
富士山5合目の外来植物対策につなげる目的で9月まで実施し、30台を目標にサンプルを集める。
初日は調査開始に先立ち、報道陣向けにサンプルの採取方法を実演した。県の委託で調査を担う環境コンサルタント業の環境アセスメントセンター(静岡市)の社員4人が、ブルーシートの上に車を誘導。タイヤ周辺の汚れを高圧洗浄機で洗い流し、シートにたまった水から種子などの付着物を採取するために、0・5ミリの網目の網でろ過した。
同日は一般車両2台のサンプルを抽出した。調査は観光シーズンの9月までに、毎月1回程度実施。同研究所や県立富士山世界遺産センター(富士河口湖町)を訪れた車に協力を依頼する。県のホームページなどから、調査への協力の予約もできる。調査結果は、年度内に報告書にまとめる。
県自然共生推進課によると、富士山5合目やスバルライン周辺では、オオキンケイギクやセイヨウタンポポといった外来種が確認されている。県は2020年から、吉田口登山道に種子の持ち込みを防ぐマットを設置しているが、車によって外来種の種子が持ち込まれているという仮説もあり、実態を把握しようと今回の調査を計画した。
車に付着した外来種の種子の調査は、国内でほとんど例がないという。同課の小泉友則課長は「まずは実態把握に努め、結果を基に研究所とも連携しながら対策を考えていきたい」と話した。