
家族で「食」考える機会を
大月市大月町真木の保育士笘谷彩さん(49)は、子どもがいる家庭を対象に、農作業の体験会や料理教室を開く活動を続けている。活動は「くらしのわ」と名付け、今年で3年目。笘谷さんは「子どもと親たちが自然の環境に触れながらコメなどの栽培を体験し、家族で食事や健康について考えてもらう場所にしたい」と話している。
笘谷さんは鹿児島県出身。東京都内で会社員として働く傍ら、2011年ごろから北杜市や八王子市などで開かれる自然農業の教室に参加。無農薬の野菜やコメの栽培のほか、伝統的な食文化をベースに健康な生活を目指す「マクロビオティック」を学んだ。
自分の畑で農業を始めようと、通勤ができる山梨県内で移住先を探し、21年に真木地区の民家に移住。無農薬での稲作や野菜作りを始めた。それまでも知人の家族が田んぼを訪れ、田植えや収穫を体験していたが、「自分で畑を持ち、食や健康について実践し、周囲に広めていきたい」として23年からは1年を通じた農作業体験を実施している。
参加者は交流サイト(SNS)やブログなどで募集。梅干し、みそ造りなどを体験する料理教室も地域住民などを対象に行ってきた。活動の名称「くらしのわ」は、「自然と調和しながら人と人がつながるという意味を込めた」(笘谷さん)という。
今年は都内から5組の家族が定期的に訪れ、コメ作りに取り組んでいる。5月下旬に水田で代かきやあぜ塗りを体験した国立市の狩野志保さん(43)は「都会では危険とされる山での遊びも、遠くから見守ってもらえる環境になっている」と話す。息子の想那さん(9)は「あぜ塗りで泥をくっつけるのが面白かった」と笑顔を見せた。
笘谷さんは「子どもが楽しみながら、家族とともに健康について考えてもらえればいい」と話している。

