
コスパ、タイパ、スペパ。~次に来るのは?なぜ○○パが流行るの?
コスパ、タイパ、スペパ。
最近耳にする「○○パ」略語。短くリズム感もあり、いかにも若者言葉という感じがしますね。
「○○パ」がなぜ若者を中心に広まったか?その背景を探りながら、次にブームになりそうな「○○パ」も予想してみました。
コスパとは?
「コスパ」の語源は「コストパフォーマンス」です。もともと産業分野で「価格に対する性能」を示す言葉として使われていました。1980年代から90年代にかけて一般にも浸透し、2000年代になると「コスパ」と略され、メディアやネットを通じて広い世代に定着していきます。
なお、「コストパフォーマンス」という表現は英語圏の言い回しではなく、日本で生まれた和製英語なので、「サラリーマン」「ノートパソコン」と同じく海外では通じないのでご注意を。
タイパとは?
タイパとは「タイムパフォーマンス」の略で、費やした時間に対する効果や満足度を表す言葉として、若者世代に広まりました。
たとえば、ネットショッピングや食事宅配サービスの利用、動画コンテンツの倍速視聴などは、「タイパが良い」行動とされます。
最近登場した生成AIを活かして、学習効果や仕事効率をいかに高めるか?これもタイパを高める例と言えます。たとえば、情報収集や資料・図表の作成をAIに任せたり、勉強で苦手な分野の克服方法をAIに導いてもらうのも、タイパを高めることができそうです。
スペパとは?
スペパとは「スペースパフォーマンス」の略で、使った空間に対する効果や満足度です。空間をいかに効率良く使えたかの指標です。
実はこのスペパ、昔から私たちが自然と意識してきたことでもあります。たとえば、キッチン周りの使いやすさを考えたり、ワンルームの収納を工夫したり...などが挙げられます。
しかし、こうして名前がつくと、目的意識がはっきり持てて、具体的にこうしてみよう、など行動へのモチベーションになりますね。
○○パ略語が生まれた背景
コスパ、タイパ、スペパは、いずれも生活や勉強、仕事の行動効果を評価する言葉です。
たしかに人々の暮らしは時間的にも空間的にもますますタイトなものへと変化しています。具体的には、社会は以下のように変化しました。
【娯楽コンテンツの多様化】・・・従来のテレビ番組に加え、YouTubeやX(旧Twitter)、TikTokなどのSNS、映画や音楽のサブスク視聴サービスなど、楽しめるコンテンツが爆発的に増えました。その結果、限られた時間の中でより多くのコンテンツを楽しむために、「倍速再生」や「ながら視聴」といった視聴スタイルが生まれました。特に、スマホやSNSが当たり前の環境で育った「デジタルネイティブ」な世代は、大量のコンテンツの中から、自分にとって有益なものを短時間で見極める力に長けています。こうした背景が、タイパに根づいた行動を起こしたと言えそうです。
【働き方改革がもたらした働き方の変化】・・・時間外労働(残業)の上限規制などの働き方改革で、仕事をいかに時間内でやり終えるかが強く求められるようになりました。
【狭小住宅の増加、都市部での生活スペースの制約】・・・都市部の人口増加に伴い、狭小住宅が増えました。限られた空間をできるだけ有効に活用しようという意識が、人々の間に自然に根付いていきました。
【社会全体におけるサービスのスピード化】・・・ITや流通インフラの高度化で、「次の日届く」や「その場で見積り」、「手軽に出品」など、ネットショッピングや各種サービスが「速さ」を売りにすることが当たり前になっています。
このような背景から、人々に効率を重視する考えが根付き、「お金も時間も無駄にしたくない」という気持ちが今まで以上に強くなっていると言えそうですね。
○○パ略語はそんな時代にあって生まれるべくして生まれた言葉、社会変化を象徴する新語と言えます。
また、言葉のリズム感もあるでしょう。「コスパ」「タイパ」「スペパ」とも短い言葉で言いやすく、「パ」という音の響きがどこか軽やかで親しみやすい印象を与えますね。
スペースパフォーマンスと言うより、スペパと言った方が会話のリズムを損なわないし、そう発した自分もなんだか躍動感や愛着をもらえた気がします。
実はそれに似たことを私たちは子供の時からしていますね。「あだ名」です。あだ名だと呼びやすく、友情も深まりやすくなります。
私たちは「無駄」に価値があることも知っているから、日常のすべてに「コスパ」「タイパ」「スペパ」を当てはめるわけではありません。しかし、ある場面においては効率性がシビアに求められる社会になりつつある、ということもまた事実のようですね。
コスパ、タイパ、スペパ、次に来るのは?
コスパ、タイパ、スペパ。次に来る言葉はどれでしょう?勝手に予想してみました。
・メンパ(メンタルパフォーマンス)
休息・運動・食事など自分にかけたケアに対して、心の健康や安定がどれだけ得られたか
「昨日、9時間寝た」「メンパやば」
・シゲパ(資源パフォーマンス)
使った天然資源や鉱物資源が、どれだけの経済効果や価値を生んだか
・ムシパ(無視パフォーマンス)
あえてコスパやタイパ、スペパを全無視する人たち
以上、「コスパ、タイパ、スペパ。なぜ○○パが流行るの?」でした。皆さんは次にどんな○○パが来ると思いますか?
written by ヒノキブンコ


