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今若者を中心に流行っているダジャレ、付け足し言葉

SNSで使われる若者のダジャレ

今、若者の間で「ダジャレ」が新たな進化を遂げています。従来の「音が重なる数」よりも、固有名詞が持つ特有のリズムやテンポを重視するのが特徴で、SNSでも使いやすい実用的なコミュニケーションとして定着しつつあります。
博報堂生活総合研究所はこれを「ネオダジャレ」と名付け、「センスや知性を表現するダジャレ」として注目しています。

若者たちの【ネオダジャレ】が気になる

若者ダジャレ、ネオダジャレの例

SNSを中心に、若者の間で広がっているダジャレには、以下の特長があります。
・短いフレーズである
・音の重なりは1、2文字と少なくてもいい
・テンポ、リズム重視
・かわいい

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了解道中膝栗毛(りょうかいどうちゅうひざくりげ)
「了解」の意味。「りょうかい」と「東海道中膝栗毛」の「とうかい」をかけたもの

やばたにえん
「やばい」の意味。形容詞の終わりに「たん」をつけて、かわいく言うのが若者の間で流行り、「やばい」から「やばたん」が派生。この「(あ行の濁音)たん」と食品メーカー名の「(あ行の濁音)たに」をかけたもの

あざ丸水産(あざまるすいさん)
「ありがとう」の意味。ありがとうを意味する「あざーす」に「(句点の)。」ないし「(はなまるの)○」をつけ、その丸と居酒屋チェーン名をかけたもの

ただい抹茶ミルク
「ただいま」の意味。ただいまの「ま」と「抹茶ミルク」の「ま」をかけたもの

まかセロリ
「任せて」の意味。「まかせろ」と「セロリ」の「せろ」をかけたもの

うれシーサー
「うれしい」の意味。うれしいとシーサーの「しぃ」をかけたもの

そう+鴨の絵文字(そうかも)、たし+蟹の絵文字(たしかに)、今から+蛙の絵文字(今から帰る)
絵文字の音にかけたもの

※使い方は画像の通り

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従来のダジャレと若者ダジャレの違い

従来のダジャレは「言葉の音の一致」で笑いを取ろうとする勝負の場でした。失敗すれば、「滑った」「寒い」「おやじギャグ」と揶揄される運命が待っていました。
しかしネオダジャレは、笑いを取ることを目的としていません。SNSの短い尺の中で、会話のテンポや脈絡を損なわず、一定の知名度がある固有名詞の音のかわいさ・可笑しさを使って、笑みや和みをすっと差し込む感じです。だから、ネオダジャレに対する反応は求められません。

相手の価値観を否定しない時代

「おやじギャグ」はその時代の若者も楽しんで使っていましたが、そこには「揶揄される」ことがほぼセットでした。それは、何かを素直に楽しむことが「ダサい」とされ、斜に構えて批評する態度がクールとされた時代と無関係ではなかったかもしれません。
しかし時代は変わり、「オタク文化」や「推し活」「尊い」など「自分がいいと思うもの」や「他人の価値観」を認め合う時代がSNSを中心にやってきました。
その文脈の中で、「滑る・滑らない」の評価軸を持たない「付け足し言葉」のようなダジャレが、若者の間で広まったのかもしれません。

ダジャレの普遍性〜江戸時代からラップまで

ダジャレ自体は決して新しい文化ではありません。
江戸時代にも地口(じぐち)、狂歌、付け足し言葉といった言葉遊びが流行りました。例えば、「合点承知の助」「恵比寿、大根食う(恵比寿大黒)」「笑う門にはふぐきたる(笑う門には福来る)」「きつねのマメ煎(い)り(きつねの嫁入り)」、「かたじけなすび(かたじけない)」「とんで湯に入る夏の武士(飛んで火にいる夏の虫)」「びっくり下谷(したや)の広徳寺」などです。
浮世絵や行灯にも地口が描かれました。川柳や俳句でも、音の重なりと意味のズレを使うことがよくあります。

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平安時代の和歌にも、同音異義に2つ以上の意味を持たせて1箇所に使う掛詞(かけことば)という技法がありました。これもダジャレの一種です。
現代に目を向ければ、ヒップホップやラップの「韻を踏む」技法も広義のダジャレと捉えることができます。語尾の音を揃えることで心地よいリズムが生まれ、聴衆は心を掴まれていきます。
音の類似性を使った言葉遊びは、時代ごとに形を変えてきたものの、言語を使う人間の普遍的な欲求と言えそうですね。

ダジャレの効果

ダジャレにはいい効果があります。
まず、場の空気を柔らかくします。適切なダジャレを言えれば、堅い雰囲気が一気に和らぎます。
また、「この人は余裕があるな」「サービス精神があるね」とポジティブな印象を与え、安心感や信頼につながります。相手との心理的距離を縮めたいときは絶好のコミュニケーションツールと言えるでしょう。ただし、フォーマルな場であるほどダジャレには高いTPOが求められます。


以上、「若者の間で広がる新しいダジャレ」でした。
笑わせなくてもいい、日常の些細なやりとりで気軽に使える付け足し言葉。「○○界隈」という言葉を生み出し、従来の「○○界」の敷居を下げたように、若者はダジャレ界隈でもその敷居を下げようとしているのかもしれませんね。

written by ヒノキブンコ

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