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会長・社外取締役座談会

会長・社外取締役

古屋頭取体制になり2年が経過しました。この1年間の変化をどのように感じていますでしょうか。

増川 頭取が率先垂範している印象が強いです。目指すべき姿を自らが示し、役職員をこの2年間導いてきたと思います。併せて、対外発信に積極的に取り組んできたことも好印象です。
加野 頭取自身がコミュニケーションの強化を重視し、風通しの良い職場づくりに熱心に取り組んできていると思います。自ら発信しながら、若手の意見もよく聞いているので、職員が高いモチベーションで仕事に取り組むことができており、非常に活気を感じます。
市川 経営理念や中期経営計画の狙いを自身の言葉で発信していることも、役職員の理解につながっていると思います。中期経営計画の策定などあらゆる場面でプロジェクトチームを立ち上げ、しっかりと議論しており、職位に関係なく議論を重ねることで、職員の中で経営への参画意識が醸成されていますし、自由に意見を言い合える風土ができてきたと感じています。 また、銀行業以外の面での発信が目立ってきたと思います。マスコミなどの報道を目にすると、行政や県内の大学、企業と連携して地方創生の取組みが進んでいることを実感しています。
 急速に変化する事業環境の中、頭取がリーダーシップを発揮することで、銀行全体として物事に積極的に取り組む風土に変化していると思います。頭取があらゆるステークホルダーに対して、バランスよく柔軟にコミュニケーションを図っており、率先垂範の姿勢が組織内にも浸透し、内外共にポジティブな良い方向に進んでいるのではないでしょうか。

頭取がリーダーシップを発揮し、企業風土改革をけん引している点が伺えました。取締役会の実効性についてはどのように評価していますでしょうか。

代表取締役会長 関 光良
増川 実効性の高い運営ができていると思います。この1年間では特に、経営戦略会議や管理職研修に参加させていただくようになりました。実際に職員と議論を交わすことで、社外取締役として現場の意見への理解が深まり、これが取締役会の実効性の向上にもつながっていると思います。
社外取締役の立場から経営のコアな部分に言及することも増えましたが、発言を真摯に受け止め、不足箇所については後ほど事務局から説明していただいており、実際に意見が反映されていることも実感しています。
例えば、重要度の低い報告資料の作成に時間がかかり、コア業務に割ける時間が圧迫されて業務的な負担となっていることを指摘しました。その結果、行内で電子化が進んでいるだけでなく、取締役会でもペーパーレスが進んでおり、企画部門などの負担軽減とコスト削減につながっていると感じています。
 社外取締役からご意見をいただく機会は確かに増えていますね。プロジェクトチームの検討内容に関するアンケートなどで協力していただく機会も増え、いただいた回答を施策に反映することができています。
社外取締役のご意見を聞いて、迅速に改善していく仕組みと風土ができてきています。例えば、取締役会において提出される議案書だけでは、審議の経過が分かりにくいというご意見がありました。そのため、議案書に表紙を付け、それまで出された主要な意見を記載し、成立までにどのような議論が行われたかを示すようにしました。この結果、取締役会での議論が一層活発化しており、実効性評価に対するアンケートでも非常に効果的だという評価をいただきました。
加野 重要度の高い議題については、議案化する前に議論を社外取締役に共有する機会が設けられています。社外取締役として、単なる報告の承認に終わるのではなく、経営に関与している実感があります。
経営戦略会議は、取締役や執行役員が参加し、外部講師の講演を基に、さまざまなテーマで経営戦略等を議論する場となっています。外部講師と役職員の質疑応答を通じて、役職員の考え方や課題感を直接聞くことができ、価値のある時間となっていると感じます。
市川 以前は取締役会の議題に対する理解度に、社内取締役と社外取締役との間で差があると感じていて、行内での議論の過程が常々気になっていました。議案書の表紙に議論の経過のポイントが付記されるようになり、議題への理解度が上がりました。
また、社内監査役との意見交換の機会に新事業への関心を伝えたところ、迅速に担当者との面談を設定していただき、担当者から直接話を聞くことで新事業への理解が深まり、非常に参考になりました。

新しい長期ビジョンを策定しました。山梨と当行グループの持続的な価値創造のため、当行グループがこれから取り組むべき課題について、皆さまの考えをお聞かせください。

社外取締役 増川道夫

増川 世界情勢や物価上昇などの影響を受け、消費者心理を含め、社会全体で不安感が増していると思います。このような状況では、家計や社会が消耗していく可能性が高く、さまざまな形で格差が表出してきます。当行グループとしては、きめ細かく地域やお客さまをケアしていくことが求められるでしょう。
そのためには、当行グループ自身がしっかりした事業基盤と収益体質を身につける必要があるでしょう。不透明な世の中ですが、掲げている長期ビジョンやバリューなどの方針は間違いないと思います。当行グループに余裕があるからこそ、地域を潤すための活動に注力することができます。正当な利益をしっかりと稼ぎ、経営を安定させることが重要です。
今後、新たに生じてくるリスクとしては、電子化に伴うリスク管理が重要と考えます。特にサイバーセキュリティへの取組みは最重要であると認識しています。当行グループは、基幹システムなど個別のセキュリティには十分に対応している一方で、グループ全体のリスクマネジメントにはまだまだ課題があります。当行グループ全体としてどのようなリスクを抱えているのか俯瞰的に認識し、最適なリスク管理体制を整えていく必要があります。
電子化に関するもう一つの問題は、お客さまの二極化への対応です。電子化にはさらに磨きをかけていくべきと考えていますが、高齢化に伴って、電子化に取り残されるお客さまも出てくるでしょう。当行グループとしては、負担は大きいかもしれませんが、両面の対応を進めていくべきです。
加野 中期経営計画で、目指す姿が「Value Creation Bank」から「Value Creation Company」に変わり、会社としてのステージが一つ上がった印象を受けます。
これからの課題は、人財を効果的に活用する方法だと思います。行内のコミュニケーションは大幅に改善されている一方で、本部と営業店、東京と山梨の間で、人財が固定化しているように思います。「Value Creation Company」として事業領域を広げていくためには、適材適所となるように、人財ポートフォリオをさらにダイナミックに動かしていく必要があるでしょう。
また、当行グループの女性管理職比率の向上にも一層取り組んでほしいと思います。これまで女性は事務職に偏りがちでしたが、事業領域の広がりに伴って新しいフィールドができる中で、女性が活躍できる場が増えていくことを期待しています。

社外取締役 市川美季

市川 金利のある世界を初めて経験する職員も多いと聞いています。こうした中、お客さまとどう向き合っていくのかが課題となりますが、基本的にはバリューで定めた事項を職員が実践し、誠実にお客さまと向き合い、それがお客さまにも確実に伝わることが大切です。
銀行の役割は、お金の流れをつくっていくことです。現在、地域課題の解決にも積極的に取り組んでいますが、これらがビジネスとしても成立し、新たなお金の流れが生まれることで、持続可能な取組みとなります。抽象的な言い方になりますが、良いお金の流れを当行グループが起点となってつくってほしいと思います。当行グループのさまざまなサービスや金融商品をお客さまに利用していただくことでお金の流れが活性化し、地域経済や地域社会の活性化につながることを期待しています。
 企業価値向上に向けた取組みは着実に進捗していると思いますが、さらなるROEの向上やPBRの改善は不可欠でしょう。長期ビジョンの目標としてROE8%以上を掲げていますが、この目標を実現するためにも、まずは中期経営計画でROE5%以上を達成することが重要です。中期経営計画に組み込まれた個々の施策を通じて、目標達成に向けた数字を積み上げていきます。 女性活躍という観点では、積極的に挑戦の機会を持たせています。直近では、ロンドンへ海外の挑戦意欲の高い若手の女性行員を派遣するなどといった事例もありました。
長期的な視点での女性活躍については、女性管理職比率を上げることを意識しています。できるだけ早く、行内から女性取締役が育つような銀行を目指します。
電子化の進展に伴うサイバーセキュリティの問題に対して、システム部門だけでなく当行グループ全体として組織的に対応する体制を整備していきます。
地域課題の解決に向けては、すでに多様な施策を展開しています。例えば、市町村などが抱える課題に対する解決策をコンサルティングメニューとして提供し、各自治体の意向に応じてプロフェッショナルを紹介するなど、サービスは広がっています。このようなサービスの提供や新事業への取組みを通じて、地域課題の解決に向けての取組みを一層拡大したいと思います。

社外取締役 加野理代

今年3月には、静岡銀行・八十二銀行と「富士山・アルプス アライアンス」を発足しました。この取組みへの期待を教えてください。

 このアライアンスの目的は地域課題の解決です。地域の最大の課題は人口減少や少子高齢化であり、アライアンスを結んだ3県でもそれは同じです。各県の3つの銀行が協力して、地域課題の解決に向けて中心的な役割を担っていくことを期待しています。
また、アライアンスは当行グループの企業風土改革の要因の一つにもなっています。他行の先進的な取組みを直接見ることで、職員にとっても、自分たちもやればできるという自信につながっています。
増川 アライアンスを通じて、一層経営基盤が安定した印象があります。これからは、3行がそれぞれの地域に軸を置きながらも、県境を越えて柔軟に活動していくことが重要でしょう。アライアンスの価値は、業容の拡大と知見の交換にあります。アライアンスによって、3つの地域を豊かにして、顧客価値を高めることを期待しています。
市川 静岡銀行とのアライアンスは、マスコミなどの報道を通じて、その効果が県民にも認知されつつあると感じています。今回、新たにアライアンスに加わった八十二銀行は内陸県で、自然豊かな地域特性やリニア中央新幹線が停車するという点で山梨と共通点があるので、連携して取り組めることも多くあると思います。
当行グループは山梨の中核となる銀行であり、静岡銀行や八十二銀行も同様に各県を代表する銀行ですので、この3行がタッグを組むことは、地域への影響力も大きく、発信力もさらに高まると思います。
地域課題の解決は、行政にとって最重要のテーマですが、行政の力だけで果たせるものではありません。今回のアライアンスでは民間企業ならではのアプローチで地域課題に向き合い、成果につなげてほしいと思います。行政と連携しつつも行政をリードする意気込みで取り組んでほしいと思います。
加野 アライアンスや連携という言葉は、取締役会でも常に飛び交っています。銀行には、官公庁、企業、自治体などとの連携を通じて得たさまざまな情報が集まります。この情報を活かしつつ、連携を深めていくことが、これから新規事業を推進し長期ビジョンを実現するうえで、最も重要な取組みではないでしょうか。
新たに制定したバリューでも「誠実」を重視していることに表れているように、当行グループの役職員は人が良く、誠実な方がとても多いという印象を持っています。
誠実さが当行グループの強みであり、この強みがあるからこそ、静岡銀行をはじめとする他行や行政との連携が、お互いにWin-Winの関係になっているのを感じています。今後も誠実をはじめとするバリューを大切にしながら、お客さまや地域の課題解決に取り組んでほしいと思います。

会長・社外取締役

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